ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

郊外観察 仙台・つくば・飯能・宇都宮 (2002/11/26)


  この前、仙台に出張に行ってきた。仙台から東北本線で15分ほど行ったところが客先だったのだが、東北本線はのどかな列車だねえ。仙台の主要な電車ではないのか、客層ものどかだ。それで、目的の駅を降りると、とにかく静かだ。何の音もしない。するといえば風の音くらい。昼間から何の音もしない。人通りもないが、たまに歩く人がいるとその足音が響くくらい静かだ。


  内藤が勤めている会社がある周辺も道路騒音はうるさいし、内藤が住んでいるところも主要道路に近くてうるさい。江東区ということもあるけど。静かなときも実はベースにノイズがあるのだ。ゴーとかいろいろ。そこからするともう格段に静か。ほんとに音がない状態なんだな。ベースとなる騒音がないのだ。そういや神戸に住んでいたころ、郊外だったが、夜になるとこんな風にほんとに静かだったなあ。そんなことを思い出した。


  前にも仙台には来ていて、愛子駅も降りたが、こちらもなかなか静かだった。皇太子に子供が生まれたときには人気だったとか。噂に聞くほどローカルな駅というほどでもなかったね。ちなみに読み方は「あやし」という。


  仙台周辺は数度行っているがまだ電車から眺めるだけだ。建物を見る範囲では、ミニ東京、という印象。ちょっと前の東京という感じ。ファッションは東京とはちょっと違う。もちろん東京も渋谷と新宿と池袋に銀座でそれぞれまったく違うが、それらとも違う。なんだろう。雰囲気として微妙にムーミン谷みたい(わからんたとえ)。


  内藤は人間観察が趣味ということもあって、行った先のそこに住む人を見る。そこに住む人の暮らしぶりを見るならまずは服を見る。そうした中でも靴のチェックが重要だ。靴が安っぽいと全般に所得が低め。また、靴を見ると東京のトレンドからどの程度ずれてるかどうかもわかる。東京からの心理的な離れ具合は、靴のトレンドでも分かる。東京と田舎では靴が一番差が出ると思う。それは、服なんかはテレビで見て真似するけれども、テレビでは靴は目立たないからだろう。光速で日本全国に同じものを伝えるテレビも実は靴は盲点なのだ。写さないから。写らないものは伝わらない。ま、テレビマスコミがいくら客観報道と言おうとも、このように写さなければ伝わらないわけで、いくらでもさりげなくコントロールできるわけである。余談だが。


  あとは郊外ではデパートがあれば上から下まで見て回ると手軽に地元のトレンドが分かる。その地元のトレンドを反映しているのが地元のデパートなのだな。そういう意味でデパートというのは未だにトレンドをよく反映する鏡としての機能がある。デパートでセンスの悪いものを売ってたら、そこのトレンドもセンスが悪いということ。デパートは売れるものを置くからそうなる。例えば、基本的に郊外や田舎へ行くほどデパートの品揃えはセンスが悪くなる。ところが、筑波につくばセンターというショッピングセンターがある。ここにもデパートがあるが、ここの立地からすると、割合と都内のデパートで置いていそうな品揃えで意外だ。しかも価格帯もそれなりに高めだし。もちろん完全に都内と同じとはいかないが、例外的である。筑波は、東京から隔絶され、高速バスなどで1時間半は東京までかかってしまうような不便な田舎にも関わらずだ。でもそれは筑波が国策で作られた学園研究都市で、ここの顧客が、国の研究所勤めか企業の中央研究所勤めの家庭だからだな。地元出身者が少なく、東京志向が強く、所得も地元に比べると高い、そういう特性を持つ顧客というわけだ。そういう顧客を抱えるから東京っぽくなる。というわけで、デパートというのは衰退しつつあるが、地元のトレンドの指標になる非常に便利な建物なのである。


  だから郊外や田舎に行ったら、まず、地元の人の服や靴を観察し、次にデパートやビッグストアのような大きな店を見て回ることをお薦めしたい。特に店というのは生活に密着しているので、地元の生活が感じ取れてきっと面白い発見があるはずだ。海外に行ってもショッピングセンターやデパートを見て回るのは非常に楽しい。


 とまあ、無難に最後だけまとめてみる。

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  いい天気だったなー。今日は埼玉県の飯能のほうに行ってきた。のどかで自然があっていい。東京の郊外の中でも、ここの町並みが好みだ。特に樹木の種類がいい。こちらは分譲マンションも安いからここに住むか、とか時間をつぶしているときに思ったり。


  やはり沿線ごとに雰囲気というのがあって、この西武池袋線の沿線は好きだ。池袋から50分という距離。内藤はあんまり遠くないと思うんだけれども、知人に聞くと皆遠いと言うね。新宿を勤め先とすると、千葉方面なら千葉市に住むような感じか。


  あと、内藤がいいなあと思ってる郊外は中央林間。あそこの雰囲気も好きだな。鶴巻温泉のほうの自然も好きだが、あちらは小田急沿線というのがダメだ。内藤は小田急沿線には住みたくないのだ。住んでる人には申し訳ないが。というのも、どの時間に乗っても、相模大野とか結構新宿から離れたところの駅でも、新宿行きも小田原行きも常に混んでるから。内藤の感覚からするとちょっとおかしいぐらい混んでる。内藤は電車がいつでも激混みというのが耐えられない。小田急沿線は相当に輸送力が不足してるんじゃないかとか思う。まあでも、毎回ロマンスカー利用というのならいいかな。でも、ロマンスカーの発券の仕方は納得できないけど。あれって、とにかく先頭車両から順に詰めていくから、ガラガラでも他人と隣同士にさせられる。あれはどうにか考えて欲しい。単純に発券プログラムの問題だろう。いや、急行などが常に混んでいることを考えると、ロマンスカーの発券方式は、乗客を詰め込むことを最優先にして、乗客を前から順に詰め込んでいくという発想なんだろうな。ロマンスカーは、ロマンスというか、輸送力増強のために作られた長距離通勤列車なんだろうなあ。


  まあともかく、テレビで均一化されつつある日本であるが、この電車で1時間くらいの範囲内の狭い範囲の首都圏でも、地域性は結構あるのが面白い。よく考えるとそこに土地を買って住んでいる人は結構な割合で50年くらいは住むだろうから、戦後の復興の仕方とか、戦前の開発具合なんかが未だに反映されるわけだな。一般に言われるほど日本は均一ではないね。地方と東京という違いだけでなくて、東京圏の中でも住民の個性がかなりある。

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  さて。ここのところ書いている、郊外の話の続きを書いてみる。内藤は宇都宮や日立のほうにもしばしば行く。栃木県とはいえ、宇都宮だと東北新幹線で東京から1時間だ。茨城県にある日立は上野からフレッシュひたちで1時間半だ。内藤の感覚からすると東京からそんな離れていないような気がするが、どちらもお店の店員さんが、「だっぺ(とかそんな感じ)」の世界で、激しく田舎を感じさせる。地元の通学している高校生を見ても、内藤は育った神戸が懐かしくなる雰囲気で、白い学校指定の靴のかかとを踏み潰していたり、素朴度が高い。郊外に来たというよりも、田舎に来たという雰囲気が強い。


  そんなに東京から離れているのかな〜、と一瞬思ったが、よく考えてみると、宇都宮へは在来線で行くと余裕で2時間半コースだし、日立も常磐線の果てのほうで、普通の列車では余裕で2時間半はかかる。他方、千葉県でも遠いという感じの成田ですら在来線で東京から1時間半もかからない。明らかに千葉ど真ん中という感じのする木更津ですら2時間を切る距離だ。つまり、電車で2時間を超えてくると通勤圏ではないし、ちょっと遠出して買い物するといっても東京は滅多に来なくなるようになり、その地方で完結するようになるわけだ。考えてみると当たり前だが。そういえば内藤が千葉の船橋に住んでいたころ、土日となると船橋には千葉の奥のほうから出てきた人が買い物やら遊びにたくさんやって来ていた。船橋に住んでいると、土日は東京まで行くわけだが、船橋よりも千葉の奥に住んでいると、船橋でいいやということで船橋が千葉人で賑わうのであった。


  だから、内藤は顧客のところに行くのに、新幹線で1時間の距離というと、東京からすぐ近くという感覚だったりするのだが、実際の生活している人からするとえらく遠いわけだ。こうやって首都圏を実際にあちこち探索して回る (仕事のついででだが) と、いろいろなことが実感覚で分かってきて面白い。広い地域を実際に自分の足で歩き回ると視野が広がる。とすると、若いうちにあちこち旅して回るとか、大人になってからでもときどきアチコチ旅して回るというのは結構重要で、気晴らし以上の意味があることかもしれない。とはいえ、内藤は仕事以外の目的でわざわざ出かけていくのは好きではないが。出不精なんで。


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  つまり、テレビのせいで日本全国が均一化しているように見えるが、実際のところの人の流れは住居という縛りゆえにスローに動いている。だから都内でも地域性が大きいし、東京から新幹線で1時間の距離はまだまだ色濃く田舎っぽい。それだけ人は動かないことを示している。その地域の景気とセンスを見るにはデパートを見るのが一番。買い物環境を見れば生活の多くが分かるし、デパートはその地域性を良く表す指標になっている。人を観察するならまず靴を見るといい。靴が安っぽい人が多いと所得が全般に低いし、センスが良くないと靴に現れる。靴は服と違ってテレビがあまり写さないから東京の流行が伝播していくのが遅い。テレビが均一化する力があるといっても写さないものは伝わらない。つまり報じないことで情報は簡単にコントロールできる。


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