■
就職先がなく、当時人気のなかった外資に就職し、そこでろくに教育もないまま、「大学院でてるんだろ」といびられながらのし上がっていく氏の半生は読んでいてエキサイティングで、特に見所と思われる、タイピストからタイプ拒否を受けるシーンと、コンデンサを仕入れるシーンでは、内藤は著者と一緒に憤り、やりかえすシーンで溜飲を下げた。
またこの本は、実際のビジネス上でも役に立つことが随所に散りばめられている。新書にしては珍しい。「後任を決めておかなければ君はプロモートされないぞ」ということも興味深いし、氏がバイヤーとして昇進していくのでバイヤーの責務が良く分かる。
特に日本の半導体産業がどうして米国を後追いのままだったかについても当事者であった筆者からの明快な解説があり、内藤はとても勉強になった。また、VTRが製造について日本の独占になったため逆に買い叩かれて利益が出なかったというのも興味深く読んだ。
ジャック・ウェルチと喧嘩して辞めたという点が目を引くが、この本はそれ以外にも読みどころが多くあり、新書として内容は濃く、買って損のない一冊だと思うのです。