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この本は読みにくい。饒舌な語り口、系統立てた分類もないまさにウェブの語りに近い。少なくとも、この本を読む前に「これまでのビジネスのやり方は終わりだ」を読んでいたほうがいい。その続編に近い。
300ページを超える本書において、300ページ以上に渡り絶えず語りっぱなしの語りの中で、今までのマーケティング手法やコンサルティング手法が扇動的に批判され続ける。「これまでの…」を読んでいないとちょっとついていきにくい。
しかし、「これまでの…」の続編として読めば、「これまでの…」にない新しいコンセプトや観察や批判が読むことができる。補遺集みたいなところか。というわけで、ある程度マーケティングの経験や理論を持っていて、「これまでの…」の衝撃をもっとほしい。もっと読んで、自分の考えを検証したい、という人に強くおすすめ。
というのも、自分の中でマーケティングの経験や理論がなく読んでも、ただ著者の憤りに圧倒されるだけで読後に何か得られるかというと内藤は難しいと思う。
逆に、マーケティングの経験と知識があれば、とても刺激的な本だ。読んでいれば、ニヤリと笑えるし、ところどころ、青くなったりもする。読みながら対話するには良い本。それを考えるとこの饒舌な語り口は一般的には読みにくいが、著者と読みながら対話し続けるにはよいスタイルであることに気がついた。メーカーやメディアが一方的に情報を受け手に流すことに対して、これからのインターネット(ウェブ)は違って、対話になる、ということを著者は主張しているが、そのために、この分かりにくい著述のし方を意図的に選んでいると内藤は思ったのである。
そういうわけで、限定的に刺激的におすすめ。