ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 イチローが珍しく自身について語ったもので、野球だけでなく人生に役立つヒントが多く詰まっている対談本。糸井重里氏の聞き方が優れてるため、充実した内容になっている。イチローファンだけでなく、何かの求道者的に生きたい人におすすめな一冊。


 内藤が気に入ったところはいくつもあるのだけど、ここでは二箇所だけ紹介してみたい。


 ひとつは、イチローが野球のプレイについて、今までは考えられなかったけれど、こんなことが出来たら面白くなるということを考えて実行していくということを具体例を出しながら語っているところがあって、最後に、「もっと、いろいろ考える余地があると思うんです」というところ。
 ああ、こういうことを、将棋の羽生善治名人もどこかで言っていたんではなかったか、と思った。たぶん求道ってそういう姿勢は共通するんだろうなと思った。出来た!!ってところで止まってはいけないんだよね。確かに一流の人が出来る水準に追いつくというのは一つの目標だけれども、追いついたその先にもたくさん目標はあって、それは、もっと面白いことが出来るという姿勢でこそ、新しいものが作り出せていけるだよね、と内藤は思った。


 もう一つは、イチローが一生懸命勉強した時期があって、でもそれでも一番になれなかったから勉強をあきらめたというところ。「野球は、みんなが一生懸命やってる。ぼくは適当にやってる。でも、断然トップなんです。しかも、まだ自分の中に、余裕があった。」と語って、野球ならトップになれる、でも勉強ではトップになれないから勉強をあきらめたというくだり。

 これもそうなんだよね。確かに努力して人並みに出来るようになることも大切だけど、人生を賭ける場合は、自分に才能があるところで勝負するというのも大切な見切りだと思うんだよね。特に近頃感じるんだな。あんまり向いてないことは努力で追いつくことは出来ても、みんなが見たことがない世界へたどり着くのは無理なんだと思う。例えば、内藤は数字に弱い。あまり目立つほど弱いわけではないけど、会計士を目指しているころに気がついた。数字に対して、記憶力や直感が働かないんだな。論理は勘付けるけど、数字はダメ。努力で補えないこともないけど、やはり楽しくないし、一番にはなれない。


 そんなわけで、これは薄い本だけれど、いろいろなヒントや気づきのきっかけになるものが詰まっているので、道を究めたいと思っている人は、読むと役に立つと内藤は読んで思うのです。注も細かくついていて、イチローの発言集のようにも作られているので薄い割に濃く、イチローファンだけに読ませておくのはもったいない一冊でおすすめです。