ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 「質問」について少し前にビジネス書では流行りました。いかに上手な質問をすることがビジネスで大事かということが流行ったわけです。その中ではこの本が秀逸だと内藤は思います。


 この本は「質問」というつかみ所のないテーマに対してとにかく分かりやすいアプローチを取っています。まず齋藤氏は質問内容を二つの軸で分類してしまいます。具体的---抽象的 と、 本質的---非本質的 という二次元のマップ上に質問を分類してしまうのです。


 大切な質問は、具体的かつ本質的な質問です。ところがついしてしまうのが、抽象的かつ非本質的な質問です。相手は具体的でないとあまりいい答えは期待できません。抽象的な質問しか出来ないということは、相手の話と自分の問題意識がすりあわされていない、つまりあまり聞いていないということになります。そして、相手の話をよく聞いていないと本質的な質問が出来ません。ただ気になったところだけを聞くと非本質的質問になって、聞かれたほうはうんざりします。そういうことがとても分かりやすい二次元マップで説明されてしまうわけです。


 ほかにも齋藤氏は、質問の質を評価するための軸をいろいろ用意しています。相手は話したくない---相手が話したい と、自分が聞きたい---自分は聞きたくない、という二次元マップです。こちらも相手が話したくて自分が聞きたいことを聞くのが良いというわけです。他に、相手の経験世界に沿っている---沿っていない、と、現在の文脈に沿っている---沿っていない、という二次元マップもあります。相手の経験世界に沿っていて、かつ、現在の文脈に沿っている質問が話がはずむわけです。


 このように質問の質を上げるために、齋藤氏はとても分かりやすい質問の評価軸を提示してくれていて、常に自分の質問をその評価軸に当てはめて意識していくことで質問力を上げていこうということを述べています。まったくシンプルですが、とてもパワフルです。


 正直なところ、質問力は、話者の知識面の教養や感情面の教養とか、楽しくさせたいという生き方なんかも現れると内藤は思います。ただ、それだとどこをどのように改良すれば良くなっていくのかがわかりません。この手の本では、ただケースバイケース具体論に終始したり、抽象論になってしまうものがあります。それだとなかなか自分に適用していくのは難しいです。でもこの「質問力」では、質問の質を評価する分かりやすい軸をいくつか提示することで、それを会話の中で意識していくことで自分自身の質問力を認識して向上させていく目安が得られるようになっており、非常に優れています。


 というわけで、自分の質問力を把握できるようになれる素晴らしい本がこの本です。とてもお薦めです。