ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

アメリカの部品屋さんを見て


 内藤の仕事は海外の部品を輸入してきて売る仕事なんだが、思うことがある。メーカーにもよるが、アメリカのメーカーは部品の品質にブレが大きい。もう、このあたりは、日本の品質の良さとアメリカの品質の悪さ、という話とまったくそのままである。


 でも、内藤もこの仕事に就く前から本では読んでいたが、大筋では同じなんだが、ちょっと本で読む話とは違うので書いてみる。あと、これは内藤の取引先に限った特殊な話で一般性はあまりないのかもしれない。念のため。


 アメリカ企業とはいえ、ひとつひとつを言えば品質がそれほど悪いわけじゃない。日本のメーカーがやらないようなユニークなものを作っていたりして、そのためにニーズがある。


 欠点としては納期が遅れやすいが、それは量産していないからで、同じような手作りをしている日本の中小メーカーでも多少はある。不良品が出荷されてくることがある。出荷検査が甘いのも困った点だ。


 だが、いちばん困るのは、細部の仕様がブレることだろう。例えば、部品の主要性能でない部分。ネジ穴の位置とか、ベースプレートの形状、外形等が変わることがある。


 アメリカ的には、主要性能に影響を与えない周辺部分の微変更に過ぎないというのだが、使う日本企業は、その外形に合わせて相手方の部品を作ってるし、調整工程を組んでる。だから、外寸などが変わると大問題になるのだ。


 どうも、アメリカの中小企業では、そういう基本性能以外の部分は外注に出していることが多いようだが、あまり重視していないらしく、外部のマシンショップに適当に指示してうまく作ってもらってる。日本のようにキチキチ図面を出して指示書で作ってもらっているわけではないようなのだ。だから、ロットが変わると、そういうところでチョコチョコ変更してしまう。非常に融通が利くんだが、その分、固定されないのでとても困る。こういうのを見ると、アメリカの自動車産業で、部品を無理やり取り付けるという話も、恐らく仕様が勝手に変わって取り付けネジ穴がなくなったりして、それを現場でなんとか取り付けてしまったりしてるんじゃないかなあと思ったりする。


 他方、日本の製品の品質は、使う部品の品質で成り立っている。量産品の品質が高いというのは、設計図どおり作られて、設計どおりの性能がどの個体でも出ていることを言う。そのためには、使う部品がどの部品も高精度に均一で設計仕様書どおりに出来ている必要がある。プラモデルで言えば、最初の部品が素晴らしく良く出来ていれば、組み立てると設計図どおりにいいものが出来るような感じである。ここに設計仕様からずれる部品が紛れ込むと、製品の性能が落ちたり、製造で組み込みの微調整の手間が増え、製造効率が落ちる。出来上がる製品の品質のバラツキが生まれる。


 おかげで、現在の日本企業の部品メーカーの部品は非常に高精度だし、品質にバラツキが非常に少なく、仕様書どおりである。おかげで、その部品を使う組み立てメーカーは、その部品を信頼して使えるのでとても楽だ。


 ところが、そういう環境を当たり前と思っている若手のエンジニアは、アメリカの中小企業製の部品を使うと悲鳴を上げる。品質のブレが大きいからだ。ま、そういう問題は話し合いつつ詰めていけばいいんだが、エンジニアがヒステリックに叫ばれるとこちらは困るのである。


 あまりに衛生的な環境にいすぎたので、生水で下痢してしまうような話なんだが、あまりに出来すぎた環境は、エンジニアのサバイバル能力を育てないので問題かもなあと思った。これだと日本のメーカーも危ないかなあと思ったりするんだが、同じ日本の大手メーカーでも、中国で工場を作って生産しているところは、割合とサバイバル能力が高いようだ。内藤の主観だが。たぶん、何もないところで苦労してモノを作ることをやっているんだろうなあと思う。中国生産も悪いことばかりじゃない。言葉も文化も通じないところでモノづくりをするのは、モノづくりの本質を個々のエンジニアに問うと思う。


 まあ、内藤はモノづくりはしないんだけど。


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まあそんなこんなで。