ビジネス本マニアックス

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 「涙と笑いの奮闘記―全米セールスNo.1に輝いた“バイアグラ”セールスマン」 ジェイミー・レイディ著 2005年 アスペクト

涙と笑いの奮闘記―全米セールスNo.1に輝いた“バイアグラ”セールスマン

■[感想]


  アメリカの元MRが書いた、てなもんやセールス記みたいな感じ。話は、いかに偶然MRになったか、とか、いかにサボることを考えたかということばかりが出てくる。熱血セールスを期待してはいけない。ぜんぜん熱血ではないのに、結果的に全米ナンバーワンになってしまうのだ。


  ちなみにMRって、病院とか薬局を回ってる製薬会社の営業の人(すごい簡単な紹介なので不正確だが)のこと。MRが特殊なのは、薬そのものを売るのは卸だし、薬が患者に販売されるかどうかは医者が決める(処方)なので、直接的にモノを売るセールスとは違うが、しかし、お医者さんなどを訪問して自社の製品の良さを分かって頂いて(嫌らしい表現ですな)処方をしていただくことで売上を結果的に伸ばすという仕事であること。処方を変えさせる、というのがポイントで、医師などに考え方を変えていただく、営業のコアの部分だけ取り出したみたいなところがある。また、もうひとつの特徴として、基本的にどの薬もそれぞれ他社が似たような薬を出していて、それ同士で競争しあっている、ということ。つまり、多くの場合、似たような代替の選択肢となる薬がある中で自社の製品が、効能が高いですよ、副作用が低いですよ、価格が安いですよ、などなどアピールして選んでもらうというわけなようだ。というか、そういう風にシンプルにまとめることが出来たのはこの本のおかげ。


  内容は最初に書いたように、いかにサボるかとかそういうネタが多いし、営業なんかは読むとウケるだろう。面白い。あー、どの国でも、どの業種でも同じか〜みたいな。まあでも、この著者は最終的には全米ナンバーワンになるので、人間的に好かれるいいキャラしてると思う。イーライリリーに転職後は教官をしていたくらいで、ビジネスの仕組みへの理解も深い。


  この本の楽しみ方だが、ファイザーで教えているらしき応答話法例なんかを読んで営業がにんまりするのも楽しいし、『良さを理解して頂く』という営業そのものの嫌らしさに気がついてみたり、要は売れるセールスって地域とかノルマとか、売れる商品持ってるとか結局そういうところなんじゃないか、とか、いろいろなところが細かく味わい深い。ただ、そういうのは文章中からセールスの悲哀とか本質がところどころチラと出てくるので、営業本マニア向けかもしれない。ノウハウをさらっと学びたいという人には不向き。


  バイアグラセールスマンであったというのがタイトルの全面に押し出されているが、著者は最初はゾロフトジスロマックを売っていた。後半からバイアグラの話になるが、意外にそこから話はつまらなくなる。いかに老若男女ともにバイアグラバイアグラの騒ぎだったか、という話で、別にどうということもない話。


  まあ、ハウツーを求める人には不向き。営業マニアが読んで細かいところをさらっていって、しみじみ営業という職業について考えるネタとしては率直でかつすっきりしているので、面白い。マニア向き。とりあえず☆1個。2個でもいいんだけど。




(作成2005.12.20)

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■[★] 「涙と笑いの奮闘記―全米セールスNo.1に輝いた“バイアグラ”セールスマン」 ジェイミー・レイディ著 2005年 アスペクト


涙と笑いの奮闘記―全米セールスNo.1に輝いた“バイアグラ”セールスマン








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