「ランチェスター販売戦略 (1) (文庫) 」 田岡 信夫 著 1992年 サンマーク出版
■[感想]
では、古めシリーズということでこちらも。
ランチェスター戦略というと結構前に流行った後、最近でもちらほら見かけます。この理論が有用かどうかといえば、とりあえず有用であり、ある局面ではまだ有効なツールなので、知らないのは不利というところかと思います。言ってみれば、定石みたいなもの。というか、もともとは戦争での定石の話なのだから、当たり前といえば当たり前なんですけど。
それで、ランチェスター戦略というといろんな本が今では出ていますが、入門的な本を既に読んでいるのであれば、この田岡信夫さんの5巻のランチェスター戦略本はお勧めです。内容は文庫でありながら本格派で、もしこの存在をまだ知らないなら絶対に読んでほしい本です。この本はそろそろ買えなくなりそうだし、文庫で安いので今のうちに買っておくといいと思います。
著者の田岡信夫さんは、ランチェスター戦略をこういうビジネスに応用して展開した創始者で、たぶん、日本のビジネスで科学的な戦略論ってこの辺りが原点だと思います。この一連の本を読む限り、参入戦略から多角化の是非、テリトリーなどの地方展開や、代理店政策、セールスマン管理など、今から読んでもとても役に立つことが満載で驚くばかりです。たぶん、これ初めて読むと、おー、こんなことまで書いてある、と何回か叫ぶことでしょう。正直なところ、古くて新しいんです。
ただ、もちろん元の執筆時点が古いので、時代相応の部分もありますし、現在では使えない部分もあります。二眼レフとか例えが通じにくい部分もあります(注)。でも、まあ使えるアイデアや知見も多いのでそういうのを拾っていくといいでしょう。代理店戦略やセールスマン戦略なんか今でも変わらないですな。
(注)昔の二眼レフカメラのことで、レンズが2つついている。ローライフレックスなんかが有名。レンズの一つはフィルムの撮影用でもう一つはピント合わせ用のため2つある。それに対して一眼レフカメラというのは、レンズ1本をフィルムの撮影とピント合わせ兼用にしたその後のモデルで、内部にミラーがあって切り替えている。それで話を戻すと、本書中で二眼レフというのは、中心地がふたつある地域を言っている。イマイチぴんとこない例えなのです。
実は、純粋なランチェスター戦略の部分というのは話は簡単で入門書読んでもそれなりに十分分かるんですが、実際の適用においては、ビジネスの実行上の周辺的なノウハウが必要なんですね。それについて非常に詳しく書いてあるのが本書といえます。だからランチェスター『だけ』学びたいなら不要ですが、どちらかというと、実用を考えると役に立ってくる本といえます。
というわけで、ある程度戦略を考えたりするマーケティング担当者に、温故知新の気持ちで読むといろいろ儲けものということで★3個。特に買えなくなりそうなので、文庫で安いということもあって手に入れておくと吉。こちらもアマゾンで中身検索できるのでちと見てみて下さいな。
ちなみにランチェスターというと田岡佳子さんという名前をときどき見かけますがこちらは故・田岡信夫さんの奥さんで、今もランチェスター戦略の普及に努力されてます。
(作成2006.09.11)
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■[★★★] 「ランチェスター販売戦略 (1) (文庫) 」 田岡 信夫 著 1992年 サンマーク出版
■参考 他の巻
ランチェスター販売戦略 (2) (文庫)
ランチェスター販売戦略〈3〉テリトリー戦略 (文庫)
ランチェスター販売戦略〈4〉代理店・特約店戦略 (文庫)
ランチェスター販売戦略〈5〉セールスマン戦略 (文庫)
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