ビジネス本マニアックス

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モノあまりの時代に売れる営業になるルールは2つだけ

「売れる営業になるルールは2つだけ」


モノあまりの時代に売れる営業になるルールは2つだけです。

 1. 売れる瞬間に立ち会うように行動する。
 2. 顧客対応は、手は抜かず、強弱をつける。



例外はありますし、私の理解してるだけなので、俺はそうは思わないという人もいると思いますが、私はこういう風に理解しています。


以下に解説します。


[解説] 1. 売れる瞬間に立ち会うようにする。

営業は、売るんじゃないんです。売れているんです。逆に、売ってると思ってる営業は数年経つと売れなくなります。そういう傲慢さがダメです。あくまで、売れているんです。売る技術そのものはそれほど重要じゃありません。


自分が買うときを想像しても分かると思いますが、買わないときはどうやって売り込んでもダメですよね。買うときなら、割合とダメな営業からでも買うんです。つまり、大事なのはお客さんが買う瞬間かどうかということなんです。それを「売れる瞬間」とここでは言うことにします。


売れる営業は、売れる瞬間に立ち会えるように行動します。だから高頻度で売れるんです。売れない営業は、顧客の買う瞬間をことごとく逃してアプローチします。だから売れないんです。


言ってみれば、暑い夏の甲子園球場で、「ビールいかがっすかー」と売る。皆、喉が渇いてますし、リラックスしたいから、ビールを買いたい瞬間にまさにいるわけで、そこで売るから、売れる訳です。これが冬の球場ではダメだし、暑い夏の昼間でも、オフィス街では売れません。売る技術そのものより、売れる瞬間に立ち会う技術のほうが100万倍大事というのは分かってもらえるかと思います。


繰り返しますと、売れる瞬間に立ち会えるように行動する、そのためには、売る技術そのものより、売れる瞬間に立ち会う技術のほうが大事、ということです。


古い頭の上司につかれた日には、「とにかくお客さんを回れ」とか、やたらに損耗することを言うと思いますが、この人らは何にも分かってません。真に受けていけません。生き残るためには、そういう原理とは違う原理を自分の中に構築する必要があります。


もはや、モノがない時代じゃないんですよ。チラシを持ってきてくれたら有難がってくれるお客さんなんて今やいません。モノは溢れてます。バブル以後の世界はモノあまりなんです。バブル以前に営業だった人間には分からない世界が広がっています。もはや、買う瞬間を捕まえることが最重要で、それ以外のときはお客さんは満腹なんです。満腹の世界では空腹になる瞬間を掴むことが物凄く大事になっているんです。


だから、買いたくない人間にも買わせた、なんていう押し売りみたいなことを自慢する旧営業マンの言うことは信じてはいけません。売買は営業マンだけに引き起こせる事象ではないんです。買い手も必要であり、商品を作り出すことも必要であり、時代の流れも必要です。また、個人に無理やりに売る方法として、欲望を刺激したり、コンプレックスを刺激したり、不必要に焦らせて買わせる手法はありますが、そんなものは正道ではありえません。



では、売れる瞬間に立ち会えるにはどうすればいいか? これは商材ごとに違います。下記は一例です。


1. 売れる商品を担当する(基本)

 もっとも単純な戦術は、売れる商品を担当することです。身も蓋もないですが、売れる商品を担当すると凡才でも売れます。何しろ顧客から売ってくれ売ってくれと来てくれるんですから。売れる瞬間のフィーバー中ですから、誰でも売れる。
 俺は売れると勘違いする営業はここから生まれます。既に売れている大手会社に入るのも手です。
 営業の就職希望者もこれについては気が付いていて、大手志望というのは売りやすさを求めてです。まあでも、あまりに定番過ぎて醍醐味がないのでつまらない。何しろスキル付かないし



・売れる顧客を担当する(基本)

 これはベテランがやってます。顧客でも大口とか高頻度に買うお客さんて限られるんです。その大口さんに贔屓になってもらっておく。すると、これも多少の凡才でもその顧客に食いついていれば注文がもらえたりします。ま、ベテランとか先輩はなかなか手放さないわけです。お客さんの取り合いなんてこういう現場で起きます。ドラマで言うホステスさんのお客さんの取り合いみたいなことが営業現場では起きたりしますからねぇ。男の嫉妬も怖いです。既得権益というのがあるわけです。


 とすると、後発の私たちはどうするか? ところが今は良い時代で、お客さんの興隆と衰退が激しいし、担当者が変わることも多いんですよ。つまり、ベテランさんのやり方が通用しなくなってきます。新しいお得意さんを作るチャンスは増えてます。いかに新しい引き合いのお客さんが、大口になるかどうかを見極めるかです。


 そのためには新しいなんだか分からない商品を担当したほうが有利なんです。新しい大口のお客さんは、新しいなんだか分からない商品の引き合いとともにやってきます。というのも、そういう引き合いで来る人は、その分野でいろいろ試している先端なんですよ。だから新しい商品をマスターしていくというのは、ベテランとの競合を避けつつ、自分の顧客を獲得する一つの方法になります。まあ、業種によって難しいこともあると思いますが。



・顧客の欲しいものを察知して提案する

 意外かもしれませんが、これが出来ない営業は結構います。自分のところの商品やサービスがどういう人に役立つかの事例を良く知らない営業に多いんです。
 まずは自社の商品やサービスがどういう人に役立つか良く知っていること。そうすれば、お客さんの話を聞くと、自社のサービスを利用してどういうメリットがあるか即座に話が出来ます。すると、今その瞬間に売れる瞬間がやってきます。

 また、商品の特徴を説明するときでもお客さんの欲しいものを察知することは大事です。お客さんが重視しているポイントに絞ってあげたほうが購買の決断しやすくなります。小ささ重視なら、小さいことを、特定の機能重視なら、その機能があることを。選ぶ理由を整理してあげるのは大事です。


・近々売れる瞬間になる顧客を見極める癖をつける
 経験が必要ですが、ベテランは割合と識別点を持っています。意識していたほうが良いのです。ただし、後述の「手は抜かない」は考える必要があります。必ずしも識別できないこともあるんです。



・売れる瞬間になるサイクルを掴んで行動する

 お客さんは、欲しくなる瞬間てのがあるんです。それはランダムなときもありますが、どちらかというと法則性がある。学習机は春に売れる、こいのぼりは4月、というふうに季節性があるものや、期末とか。お客さんが欲しくなるタイミングは自分で分析して、図り、そのときにコンタクトするって大事です。闇雲にコンタクトするよりもずっと効率が良いのです。地域なのか、時期なのか、属性なのか、とにかく特定のパターンで高頻度に売れる瞬間になることがあります。この分析は会社に任せてはいけません。自分で割り出すんです。


・売れる瞬間になったらコンタクトしてもらうようにする。
 独自のチラシでも広告でも作って打っていきます。そうやってコンタクトしてもらうようにすれば、まさにお客さんは買う瞬間で来てくれます。初回アプローチしたときは、必ずしも売れる瞬間ではなくても、このようにお客さんから連絡してもらえるようにしておくのも手なのです。これも自分独自の手を打つべきです。



戦術面はいろいろありすぎるので、このあたりが代表的です。次に2番のほうの解説です。



[解説] 2. 顧客対応は、手は抜かず、強弱をつける。


売れる瞬間に立ち会うように行動するのは大事なわけです。ただし。効率を追求しすぎると売れなくなります。たとえば、近々売れるお客さんには親切にして、そうでなさそうなお客さんには早々に見切って冷たくするとか。それやると、売れそうなお客さんってのは営業皆で食らいついたりして激戦になって、意外に見切ったお客さんが買ったりとか。


なぜか?


私たちの見切る能力ってたかが知れてるんですよ。少なくともこれから売れる商品に関しては、モノあまり時代ですから、買う瞬間の予測は難しくなってきています。だから、私たちの浅知恵で見切ったつもりになっていると、私たちが見切られることになります


たとえば、買うか買わないかが分かりやすい商品とタイミングというのがあります。例を出せば、20代後半から30代くらいの夫婦で住宅展示場やマンションの見学会に来た人間なら、数ヶ月内に99%買うのが分かってます。だから夜討ち朝駆けしても営業をかけるんですね。


ところが、今は見切りにくい商品のほうが増えてきているんです。また、大口になるかどうか分からないケースも増えています。そういうときに、過去の経験だけで判断していると、開拓できるお客さんの範囲が狭まっていきます。


見た目分かりやすい大口になりそうなお客さんとか、すぐ買いそうなお客さんてのは、他の営業から見てもそう見えるんですよ。これがポイントで、他の営業もやってきて激戦になりやすいんです。もちろん、買いそうなお客さんを見逃す必要はないですが、顧客も多様化しているので、むしろ、そういうターゲットになりやすいお客さん以外を捨てずにフォローすることが大事になってきているんです。



だから、顧客対応は手は抜いてはダメです。手抜きするとお客さんは分かります。そうすると、自分が買おうと思ったときにその営業には連絡しないですよね。


とはいえ、営業マンの時間は限られていますから、どうにか時間を捻出しないといけない。手を抜く代わりに強弱をつけるんですよ。すぐ買いそうなお客さんには、たくさんフォローします。とはいえ、それにすべてを掛けてしまわないんです。買うか買わないかはある程度は確率論ですから。


他方、すぐ買わないお客さんだなー、と思っても、手間はそれほどかからない範囲で出来る限り、親切にするんです。こうしたほうがいいですよー、とアドバイスしたり、資料で取れるものはどんどん上げたり。ちょっとした労力をかけるんです。お客さんも自分がすぐ買わないことは分かっているので、むしろ、喜んでもらえます。そうすると、そういうお客さんは戻ってきてくれるんですよ。つまり、すぐ買うお客さんに使うエネルギーの2割くらいは割いて、すぐ買わないお客さんに親切にしたほうがいいんです。それが手を抜かずに強弱をつけるということなんですね。


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というわけで、常に買う瞬間に立ち会う確率が高まるよう行動し、顧客対応は手を抜かず強弱をつけて、すぐに買わないお客さんにも親切にすることで混沌とした中で売れる一筋の道が見えてくると思います。


上記のプロセスを行っていると、新しい売れる道筋というのが自分のオリジナルで見えてくると思います。


そうなったら売れるスキルはアナタのものです。


旧来の売れるお客の見極め方や売り方というのは、オジサンたちに任せておけばいいんですよ。


新しい時代には新しい商品があり、新しいお客さんがいます。それをいかに見つけるかが若手の営業の仕事だと思うのです。


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