資格は「社内転職」に使う、転職には「経験」を使う
ビジネス本マニアックス 内藤です。相変わらず貧乏暇なし状態なのですが、まあなんとか働いています。2011年は40歳になった年で、いろいろと気づくことがあり書き溜めたものがあるので、書いていこうと思います。
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さて。本題。
資格は「社内転職」に使う、転職には「経験」を使う(主に30代)、について。
「○○という資格を取って転職しようと思う」というのを良く見るんだけど、僕は個人的に違うと思ってる。むしろ逆で、資格はあんまり武器にならない。無いよりはいいんだけど。それについて書いてみる。(もちろん例外はあるよ)
結論から言うと、30代について言えば、
1. 資格を取ると、現在勤めている会社の社内転職や昇進に役立つ。
2. 資格を取るのは、転職の武器にはなりにくい。
3. 転職の武器になるのは「経験」
その理由は、「市場」の需給状態。
解説すると、
資格というと、英語、簿記、MOS、秘書検定あたりをイメージしてもらうといいのだけど(特殊な難関資格は除く感じ)、こういう資格が珍しい時代には転職でも武器になりうる。というのも、求職者で持っている奴が少ないから。もちろん、求人側でその資格者が望ましいスペックである、という前提も必要。
ところが今みたいに、学校やら教本が揃っている時代で、しかも、ネットがあるので情報も行き渡っていて、さらに、就職難となると求職者が資格で武装してくるのね。
つまり、資格で差別化できない。もちろん、あって当たり前、な場合は取っておくに越したことはない。だけど、武器にしようという戦略は間違い。また、資格を取るのに時間もオカネもかかるので、武器にならないなら、初めから捨てることも考えたほうが良いので、転職で資格は武器にならないというのは理解しておいたほうがいい。
要は、転職市場で、競合(他の求職者)はどうなってるかを意識しないといけないという話。
それで、社内転職や昇進に資格が役立つというのは(100%じゃないんだけど)、これも社内の人材市場の問題。
転職市場だと簿記とかMOSだの、英語の各種検定だのは、ありふれた資格になるんだけど、社内だと珍しいということになるのね。中小企業ならもちろんだし、社内を見渡して、この資格を持っている人間がどれだけいるか見れば、競合具合が分かる。
具体的に言えば、小企業で社内に簿記検定取得者がほとんどいなければ、社内で経理職に就きたい場合、簿記の勉強して、簿記検定を取っていけば、経理職になれる可能性はゼロじゃない。
転職市場なら未経験ではほとんど無理なのに比べるとずっと可能性がある。もちろん、社内のニーズがあるかどうかも確認しなければいけないけど。例えば、中堅の経理担当が現役でいて、仕事が増えているわけでないから1人で十分なら、経理職シフトは無理だけど、会社の業務が拡大していて人手が足りないとかそういう状況なら可能性がある。
どちらにせよ、求職側(競合)の状況と、求人側のニーズがあるかどうかを確認しなければいけないのだけど、社内の求人市場というのは、転職市場より競争が緩いので、ねらい目ということ。
3. 転職の武器になるのは「経験」について解説すると、こちらも転職市場の求職側を想像すると分かる。
資格は取りやすいので競合相手が持っている可能性が高いが、経験というのは、ある程度うまく行っている企業のビジネスの進め方のノウハウのこと。そこそこ成功している会社に勤めている人間は持っているであろうと推定されるので、こちらは競合相手が持っている可能性が低い。そして、求人側の企業はそれを求めていることが多い(もちろん、これは要確認)。
求人側が求めていないスキルは意味が無いというのもあるんだけど、転職の際に武器になるのは「経験」というのはそういうことだと思ってる。
まあ、だから、小企業⇒大企業転職というのが難しいのは、「経験」を武器にした転職はやりにくいから。というのも、小企業はビジネスで大成功しているとは言いにくいから、そこでのビジネスの進め方のノウハウはあんまり高くないと看做されてしまう。だから売り物になりにくいというのがある(実際はそうでないかもしれないけど、一般的には)。
逆に、大企業⇒中小企業転職がやりやすいのは、「経験」が武器になるから。こちらも実際に転職してみると戦力にならないケースも往々にしてあるわけだけど、そんなことはあんまり関係ない。
転職というのは、転職市場という特殊な取引で行われるものであって、転職市場では、求人側は頭数や資格や経験を求めているし、求職側は、資格や若さや経験を武器に売り込んでる。その中で取引が成立する(転職できる)のは、求人側のニーズに合う&求職者の中で優位に立つ、ということが必要。
だから、未経験でも転職できました!なんてのは、求人側が経験者を求めておらず、頭数が欲しかったか、ポテンシャルが欲しかったか、そういう状況にあった1例ということに過ぎないと思う。特に20代なら、「経験」なんて大したものはないので、むしろポテンシャルのほうを重視して求人側が採用していることが多いだろうし。
まあ、そんなことを書くのも、30代になると「経験」が重要になるケースが多いから。もちろん30代前半ならポテンシャル採用もなくはないのだけど。
だからこそ、30代であれば、今から資格を取ってそれを武器に転職しようと思うよりも、転職であれば経験を武器にすべきだし、資格なら社内転職・昇進に活かすことを考えて動くべきですよ、と。 まあ、そういうことを言いたいわけです。ときどき、この逆をやってる人を見るので。
繰り返すと、転職を考える場合、転職市場の求人側の求めているものが何か(経験なのか、資格なのか、ポテンシャルなのか、単なる頭数なのか)を知るようにすることと、求職側の競合を意識して差別化が出来ているか、何で差がついているかを知るようにすることだと思う。この市場の意識が大事。
特に、資格を取ろう、というのは誰にでも出来るので、競合が多くなりやすい点に注意したい。皆が持っていれば武器にならないということがポイント。
この状況は難関資格も同じだと思う。受験者が殺到していて合格者が増やされている難関資格は取得しても仕事がないということも起こりうる。取得の難易度と就職のしやすさは関係がない。
試験の合否と転職市場のマッチングは別な仕組みだから。試験の難易度を高くして合格者を求人数よりも少なく調整していた時代には、試験の難易度と合格後の職の得やすさは比例していたわけだけど、今はそうじゃなくなってることが多いから注意したほうがいいと思う。
とにかく、ゼロ年代以降の世は、資格過多なんだよね。この数十年くらいで、たくさんの資格が作られ、その合格者も数多く世の中に送り出されてる。有資格者が少ない時代は資格で差別化も出来たし、仕事もあったけど、今は状況が違う。昔のセオリーに惑わされないようにしないといけないと思ってる。
それから、転職市場は厳しいが、社内の転職市場はそんなに厳しくないことが多いので目を向けるべき。
ということでした。