ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

対人恐怖を克服したときの話

えと。先日はやけに体力ネタでアクセスが多くて、ブックマークしてくださった皆さんや、はてなスターくださった皆さんに感謝です。


というわけで、(関係ないけど)、僕のテーマの話に戻ります。


今回は対人恐怖を克服した話です。僕のやり方は別に最善ではないと思いますが参考になれば。

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大学に5浪して入ったとき、僕はすごい対人恐怖症になっていた。


キャンパスにはキャピキャピとした18,19歳ばかり。そうした中で、自分は23歳と思っているわけで、身の置き場がない気がした。


後から考えると、それは単なる自意識の問題に過ぎないと思う。とはいえ、当時はそんな割り切りなんて出来るわけがないので、「大学5浪のことがバレやしないか、いや、バレてもいいんだけど、馬鹿にされやしないか」など悶々と考えたり「俺何やってるんだろ」と頭の中でいろんな言い訳考えたりで、不安でいっぱいだった。


自分がここにふさわしくない余所者なのではないか、という気持ちが強かったと思う。ここにいてもいいのか?というところに自信がなかったし、そういうことが他人にバレないか、バレて馬鹿にされたり、糾弾されたりしないか?ということも常に思っていた。


最初のクラス会で(そういうのがあった)、なぜかクラス委員に選ばれたときは、教室の前に行くときに足が震えて震えて困った。震えているのがバレるのも嫌なので必死で抑えるんだけど、たぶん周りから見るとヘンだったんだろうなあ。震えると歩けないという発見もあったり。


ほかには、トイレで隣とか後ろに立たれるとできないとかね。対人恐怖の人はそういうこと多いと思うけど。だから誰もいないトイレを探してたりした。


こういう風になると、大学に行かなくなって辞めてしまう人が多いんじゃないかと思う。けど、僕の場合、単位をばっちり取って絶対に卒業するというのは固く決めていたので、とにかく大学には毎日行って、暇な時間はラジオのAFN聞いているか、図書館で本読んでるか、寝てるかしていた。なんというか、「仕事」みたいな感じ。おかげで4年間通って卒業できた。ここから学んだのは、好き嫌いだけでやってると人生はダメなこともあると思う。特に学校に通うのはある程度忍耐が必要なので、自分に強いたほうがいい。学校は忍耐力を身につけるところでもあるんだろう。


このころの僕の対人恐怖というのは、つまりところ劣等感だと思う。「拠り所が欲しいのに得られない」葛藤から来る劣等感であり、「自分が自慢できる何者かでありたいがそうでない」という葛藤から来る劣等感で生じていたように今は思える。


5浪ということに自分自身が恥じていたし、それに対して特に説明を持つことができないでいた。カッコつけられない状態でいた。それに対して、僕は自意識は高くて、現実に対してプライドだけは必要なく高かった。自分が自慢できる何者かでありたかった。だから、5浪した身で大学にいるということが、それに対して説明がつかないでいた。


どうしても勉強したいことがあって5浪したんです、というわけでもなかった。単に大学に5年間受からなかったのだから。また、何のために大学にいるのかも見えなかった。だって、学歴取得のためとも言えない。明治で5浪って意味あるのか?ってのもあるし(とはいえ、大学を出ていることは後で役立った)、かといって、何かすごく勉強したいというわけでもない(とはいえ、学んだことはビジネスで役立った)。


まあそんなわけで、後からうまく人生の歯車が回り始めると、あの時はああいう意味があったんだなあ、と振り返れるが、当時にはそんなことが分かるわけも無く、ただただ、劣等感に悩まされていた。


当時少し救われたのは、本で読んでいて、学歴についてチン毛みたいなもの、というのを読んだときかな。あって自慢できるものでもないが、無いと寂しい。言いえて妙だ。「なるほど、俺はチン毛をつけにいってるのか」と納得した覚えがある。あって自慢できるものでもないが、無いと寂しい。なるほどだった。


対人恐怖については、キャンパスに慣れ初めて、大学主催の英語の合宿に参加したりして友達が出来るうちに少しずつ解消されつつあった。会計士の専門学校でも友達が出来たりして、人は居場所を見つけていくと落ち着いてくる。何か話をする仲間を作ることは大事だ。仲間を作ることで何か解消する訳ではないが、少なくとも必要の無い不安感は多少は消える。



でも、まだ対人関係は弱い。震えそうになる。というわけで、僕はアルバイトで鍛えることにした。まずは、対人接触が少なくて練習になりそうなところということで、コンビニのアルバイトを考えた。大学近くのコンビニの募集を探して応募した。その前にミスドとかドトールとか求人に申し込んだら落とされたのだが。だから落とされても対人恐怖の人はめげないことは大事。


そのコンビニでは、仲間も出来、お客さんとはレジ越しに毎日100人くらいは対応するなど(その店はすごく忙しい繁盛店だった)を経験することが出来た。レジ越しなら大丈夫と自信がついた。少なくとも手も足も震えない。対人恐怖のある人は、こうやって段階的に対人接触を訓練するといいと思う。コンビニの接触は定型的だから、なれない間も対応しやすい。


数ヶ月経つと、お店には申し訳ないのだけど、もっと対人接触するバイトに変わってみたくなった。もっと自分を訓練したくなったのだ。それでコンビニを辞め、次はカラオケ店に行った。こちらはお客さんの誘導とかオーダー取りとかもう少し接客シーンがあった。こちらも、仲間が出来、仕事もすぐ覚え、バイトとしてあれこれ任させるようになって自信がついた。だいたい1ヶ月あれば仕事が出来るように見られるというのもわかり、自分に自信がついてきた。ここは、コンビニより接客があり、勉強になった。それでも一番最初に接客したときは震えてしまって、お客さんに笑われたものだった。とはいえ、それも数回でなれた。何事もやってみないと慣れない。


ここも3ヶ月くらいでキッチンも接客もドリンクも任されるようになって、仕事も楽しかったが、もっと対人接触を訓練したくなった。それで、銀座にあるカフェのウェイターにバイトを変わることになる。こちらは、飲食チェーンで本社で面接だとか、面接のときにウォーキングさせられるとか結構あれこれチェックされたが、背の高さで採用された。仕事は厳しく、店でえらくしごかれて、大変な思いもしたが、2ヶ月くらいでいろいろ任されるようになった。


ここの仕事は、1ヶ月経過した時が一番つらかった。この仕事ができるようになるかなあと悩んだりした。当時は、僕の収入が家計を支え始めていたりしたので、バイトも簡単に辞めるわけにも行かず、ちょっと悩んだ。とはいえ、一番キツイときが乗り越え時で、あと少しと踏ん張っていたら2ヶ月経ったときにはほとんどのことがスムースに出来るようになっていた。また、がんばっているのが認められ、店長やシェフに目を掛けてもらうようになり、仕事がやりやすくなった。当時は、毎日、ミスしたりして叱られたことが悔しくて、帰りにメモを見て頭に叩き込んだりしたのが、今となっては楽しい思い出だ。


このお店は、値段が高い店ということもあり、甘えが許されなかったし、プロとして動くことを期待された。その分、気の回し方、動き方、動作、スピード、細かいところまでチェックされた。一つの作業をしながら、全体を見渡して行くことや、お客さんからのオーダーも複数をその場でメモを取らずに記憶することも求められたし、倉庫から荷物を取ってくるのを頼まれたら倉庫にある在庫は全部見て覚えて戻ってくる(ほかの在庫量を聞かれるから)。そういうことで仕事の修行にもなったところだった。今でも鍛えてくれたシェフ、店長、副店長、チーフには感謝している。


このカフェでのバイトが、厳しかったが一番思い出になったし、僕の仕事の基礎を作ってくれた。スピードを速く、かつ、ミスはゼロで完璧にするのが仕事と学んだのがここだった。ウェイターの仕事は忙しいときはスピードが速くなければいけない。しかし速くてもオーダーを間違えたりしては意味がないし、配膳でひっくり返してしまってはマイナスだ。速い、けど、正確で、ミスが無い、ということを両立しなければいけないということを芯から叩き込まれた。


結局、ここでのアルバイトは、大学を卒業し、会計士受験をしていて、最終的に受験に失敗して、就職活動ののちに就職する前日まで続いた。


対人関係は、就職してからも修行ではあったけども、アルバイトで基礎が作れたのであった。





対人恐怖は、少なくとも話せる友達を作る、ということでその場に居場所を作ることが出来る。


とはいえ、それだけではなくて、スキルをつけて、自分の能力に自信をつけることも劣等感の克服には大切だと思う。アルバイトでも何でも良いんだけど、自分が働けて頼りにされたりするというか。そういう経験が少しずつ劣等感を克服していくと思う。


また、見知らぬ人と対応できるようになるには、アルバイトを利用して、対人接触訓練をして、だんだんとレベルを上げていって鍛えるのがいいと思う。たとえば、人がまったく苦手なら最初は倉庫内作業でもいいと思う。社内の人だけの接触で慣らすのがいい。慣れてきたら、それで満足しないで少しずつ対人接触のレベルが高い職場に移っていくと対人接触スキルアップが図れる。一箇所で安住すると対人能力は伸びにくいので、あえてアルバイトも転職すると良いと思う。


以上お役に立てば。


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