ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

僕が思う営業職における新規開拓営業とルート営業の違い

営業職について実のところ中身が知られていないせいか、結構おかしな説明を見るんだけど、特に新規開拓営業とルート営業(既存顧客営業)の違いについて書いてみます。


新規開拓は大変だけど華だとか、ルートは簡単だとか書いてあるの読みますけど、えーと、僕の30からの経験では、まるっきり逆なんだけど。少し乱暴にまとめてみたのが下記。


簡単にまとめると。


新規開拓営業は結構誰でも出来る。新規開拓メインは精神が損耗するから5年くらいで飽きとか限度が来るから、限度が来たときに会社にサポート体制があるかどうかが注目点。


ルート営業は一生やる長期戦ゆえに、実は適性が凄く大事で、向いてないとキツイ。



では解説を以下に。



会社や事業によって、営業の形態はいろいろ。


とはいえ、新規開拓とルート営業(既存顧客に物を売る)は組み合わせのパターンがあるだけ。

  • 住宅販売みたいな新規開拓だけというもの。電話回線売るとかもこれかな。
  • 卸業とか部品販売みたいなルート営業メインで少し新規開拓があるもの。B2Bが多い。
  • 生保みたいに最初に新規が多くてその後ルート営業メインになるもの。

■ 新規開拓営業


ここで強調したいのは、新規開拓は実は結構誰にでも出来る、ってこと。


単純に、根性入れて、明るい笑顔で断られても断られても何軒も会社とか個人宅とか訪問すれば、誰にでもある程度成績が出せる。


大変そうに見えるけど、要は演技力と根性の問題で、だからこそ、「人付き合いが苦手だった私にも営業でトップになれました!」というような成功談がちょくちょく出てくる。それは、明るく何軒も訪問したから。修行みたいなもん。ハングリーな奴が有利。心入れ替えて修行に打ち込めるかどうかがカギ。


これはあんまりテクニックいらない。むしろグダグダ考えずに数を訪問したり電話したほうが成績がいい。もちろん、細かなところで打率のよしあしはあるんだけど、打率悪い奴でも沢山バッターボックスに立てば(訪問すれば)、それなりに良い成績になる。やっていればヒットも出るし、たまにはホームランだって出る。


ただ、やっぱりそういうのは精神的に堪える。断られるのもつらいし、慣れてくれば単調化するから飽きる。だから3〜5年くらいで限界が来る。燃え尽きるわけ。


たまに超向いていて10年以上できる人がいるけど、そういう人は、誠実そうな外見だけど、中身は割合と他人事でケロっとしているタイプ。ストレスたまらないし、気にならないタイプ。こういう人は自分が得意と知ってるから高額な商品を一回で売って行く仕事に移っていくのが普通。そのほうが儲かるから。


それで、新規開拓営業に必ずやってくる3〜5年の限界に対して、どういう風になるかというと、社内で異動か、出世か、転職、のどれかが普通だと思う。


大手の会社は、3〜5年で限界が来た社員を異動させてリフレッシュさせているみたい。営業所多い会社なんかはそれが出来る。


あとは、出世というのも一つのパターン。5年くらいやると課長とかになるとか。現場から少し離す。ただ、会社が成長していることが条件。そうでないとポストが用意できない。あとは、あまりに厳しくて僅かしか5年後残らず、それが課長になるとか。


リクルートの人事制度で期間3年の契約社員の営業職というのがあるけど、燃え尽きるタイムリミットを考えているんだと思う。根性で頑張りが利くのが3年と良く分かってるんだろうな。


じゃあ、5年経って燃え尽きて、異動先もなくリフレッシュできず、出世するポストもなく出世できず、となるとどうなるかというと、大抵は退職する。転職ね。


僕が思うに中小とかベンチャーで3〜5年の営業社員が割合と辞めていくのってこれが原因だと思う。それは中小やベンチャーは営業職の制度設計が良く出来ていないんだと思う。創業時の営業職は管理職になって満足してしまっているしね。成長が止まってるからポストが用意できないために離職を招いてしまう。


とはいえ、新規開拓は先ほども述べたように適性はあんまり重要じゃないから、また採用すればいいか、みたいになるんだけど。あと、その場合でも残っていれば10年くらいでポストが出てくることもあるから考えどころでもある。


だから、新規開拓メインの営業職に就くときは5年後にどうなるかを意識したほうがいいと思う。そこで転勤があるのか、上長ポストを得られそうか、それとも職歴をつけて他社に移るでもいいと思うし


中小は異動が出来ないから同業他社に移る転職も一つの選択肢になる。転職だって、同業他社に転職するような場合はスキルアップになるので悪い話じゃないと思う。ただ、繰り返しになるけど、僕が言いたいのは、新規獲得メインのところに就職すると5年後にどうするか考えておかないといけないということ。転職も悪くないけど、意識して5年過ごすのとそうでないのとでは意味が違ってくるし。


■ ルート営業


じゃあ、ルート営業(既存顧客営業)はどうかというと、適性が大事。


ルート営業に向いている人は、人付き合いが得意な人。特に、自分から話しかけるよりも、皆から話しかけられるタイプが向いてる。自分から派手に話さなくても皆から声がかかり、友達多いタイプ。


というのも、既存顧客と年中付き合っていくわけだから、好かれないといけないし、そもそも人に関心のある人好きでないとダメ。また、付き合いは深すぎても浅すぎてもいけない。ちょうどいい感じの深さと間合いをたくさんの人とキープできる人がルート営業で好成績を長期出せる。また、誠実な人であることも重要。


ね。これって難しいよね。ルート営業のほうが適性が大事ってこと。ルート営業はずーっとやる仕事だから。これが向いていないとつらいと思う。人に好かれないタイプもダメだし、他人に関心がないのもダメだし、付き合いの深さをコントロールできないのもダメ。


ルート営業は簡単じゃない。既存顧客から契約を切られないだけでなく、どんどん売り上げを伸ばしていくってことは、相手のヒアリングや提案などうまくやらないといけない。しかも関係性を維持していくことも必要で、売り逃げは出来ない。3〜5年頑張るかー、ではとてもやっていけない。


だから、世間で言われてるルートのほうが簡単なんて、まったく何を見て言っているんだかと思う。もちろん、ヌルイ業界で、競争もあまりなく、ただ品物の配送やってるようなルート営業もあるんだろうけど、そういうのは少数だと思うんだよね。


また、確かに、ルート営業でも「納品」とかメインの仕事もあったと思うので、そういうルート営業なら人付き合いが苦手でもokではあると思う。ただ、ここではそれは話の対象としていない。そういうときは仕事に「納品」とかもついてることが多いと思う。


また、ここでの話は多少はルート営業でも新規獲得は課せられるだろうけど、それがメインではないというケースね。



■ 最初は新規開拓で、その後ルート営業


最後に、最初は新規開拓でその後ルート営業になるものというのは、生保とか。


これは最初の5年間猛烈に頑張って自分のお客さんを作ればいいので、最初は頑張ることが大事。あとは、むしろルート営業の向き不向きのほうが大事な適性。売り逃げ方ではダメということ。だから、こちらはルート営業に向く友達多いタイプがいい。


ただ、こちらの業種の場合は注意すべき点が3点。あくまで新規獲得を3〜5年頑張って、その後、ルート営業で確実に稼ぐというモデルなので、新規獲得がスムースに行くかがポイントになる。


最初の新規開拓はマーケットの成長期のほうがいい。衰退期だと自分の顧客にする人が少ないので不利。


じゃあ、新しい商品でこれからマーケット作ります、というのがいいかというと、こちらはヒットしないリスクがある。また、初回売れてもリピートしなかったり。成長がこれから見込めそうな新商品の場合もヒットするか、マーケットが伸びるかというリスクがある。


さらに、競合他社が多くて激しい競争になると、せっかくお客さんを獲得しても他者に取られてしまって新規獲得メインから離れられなくなるから、それもキツイ。競争が厳しすぎるところも要注意



■ まとめ


というわけで、営業職は、上記の3タイプのどれかに当てはまると思うし、既存のお客さんがメインか、新規獲得メインか、新入りは新規獲得を課せられるのかで、その会社がどのタイプか分かると思う。


その上で自分のタイプを見て、人付き合い得意なタイプはルート営業メインのところに行くといいし、人付き合いが苦手ならルート営業は避けたほうがいいと思う(※ 配送メインのルート営業は除く)。


人付き合いが苦手なら、決まった人に会うような工場とか裏方の作業仕事とかのほうがいいのだけど、意外に、新規開拓は修行と思ってやれば出来たりするよ、ということも言いたかったり。



■ おまけ


手を抜いて生きる。


実は最近はこういうのもありかなと思う。


向いていなくても、ときどき頑張って、あとは手を巧く抜いて生きるのもありだなあ、と。


そういう人も結構いるしね。


■ じゃあ僕は?


僕はルート営業に向かないと思ってる。新規のほうがラク。人付き合い面倒なんだよねー。


まあ、その場の演技力はやるけど。長年できるか、それで好成績あげられるかというと、出来ないな、と思った。


で、今はマーケティングのプランニングの仕事に移って楽しい日々を過ごしてる。


僕は仕組みを分析して、制度設計するとかのほうが得意だなあと実感してる。


ただ、まあ今までもいろいろやってきたし、そのやってきた経験が物凄く今生きているんだけど、出来ることと向いてることは別だなあと思う次第。


  • -