「人生に奇跡を起こすノート術―マインド・マップ放射思考」 トニー・ブザン著 田中孝顕訳 2000年 きこ書房
■[感想]
さー、やってまいりました。自己啓発系の2大有名手法であるフォトリーディングと、マインドマップです。訳者も、神田昌典さんに、田中孝顕さんという、自己啓発系では有名な作家さんです。これの紹介をしようかな、と。これね。別に知らなくてもそれほど損しない、というのが内藤の見解です。最初に言うけど。
そもそも、怪しいんだよね。どっちも。なんかその手法を知ると人生変わるみたいなことが書いてあるし、これにはまると、フォトリーディングのおかげで劇的に変わりました!!みたいな感想書く人多いし、マインドマップもそんな感じ。ただ、正直なところ、それで「変わりました!!」とか言う人が本当に発想力が豊かになって、知識豊かになってるのか、というとそんなことない気がするんだな。まあ、なんというか、自己啓発系特有な、変身した気分に浸れるというか。しかし、人生変わるインパクトはないと思う。もちろんそれは内藤が両者の真価が分かってないからかもしれないけども。
ただ、効果ないわけじゃないと内藤は思う。だからここでオススメしているわけだけど。フォトリーディングのような本の読み方や、マインドマップのようなノートのまとめ方というのは、知っていたほうがいい。でも、こういうのって、必要に応じてなんとなく学ぶものじゃない?
例えば、フォトリーディングは、数百冊の本読ませたら、読みきったころには出来るようになると思う。もちろん読みきれなくて挫折した人は出来るようにはならないけど。内藤は大学時代に図書館にこもって片端から本を取ってめくっていったので、それでパッとページを見てそこの単語を一気に読み込む方法を身につけた。今は、調べ物するときとかに便利にしているし、書店で本を探すときも本棚をパッと見て、必要な本が無意識にピックアップ出来るようになった。無意識の力を使うので自動的に浮き上がるんだよね。たぶん、文献とかの調べ物やった人はできるはず。だからそれほど珍しくない。むしろ、そういう調べ物をしなければならなくなった人は、これで学ぶのはいいと思う。ただ、これを使ったからといって、ポテンシャルが10倍とかになったりはせんと思うんだよね。差別化ってそういう安直なところから出てこないと思う。
また、マインドマップのようなメモの取り方は似たようなことをいつの間にかやってないかな。メモの取り方を工夫している人は箇条書きから脱却していると思うし、図で書いたりするよね。内藤は20歳以降のメモは箇条書きはなくて、白紙に図で書くことばかりなんだけど。大事なことは大きく書いたり、派生的なことは線を引っ張って小さく書いたり、事柄の関係性を矢印でつないだり、○や☆マークつけて強調したりとか。もし、やってないとすれば、これで学んだほうがいい。それは今までのやり方が非効率的すぎるから。だから、別にこれで人生変わるっていうわけじゃない。マインドマップは良いツールではあるが、これが人間を創造的にしてくれるわけじゃないんだ。創造的なアイデアは自分の中から出てくる。自分の中に何も溜め込んでいない人は、マインドマップ使っても、やはり平凡であって、良いアイデアは出てこない。こちらも、マインドマップで脳みそがそんな活性化されたりみたいな神秘体験はないと思うんだよなあ。
さーて。というわけで、それぞれについて内藤の感想を書いていきましょう。
[★★] 「あなたもいままでの10倍速く本が読める」 ポール・R・シーリィ著 神田昌典 監訳 2001年 フォレスト出版
この本はフォトリーディングについて解説した本です。速読術の一種です。この本の中で解説されている内容からは逸脱して内藤が説明します。
フォトリーディングとは、時間のないときに、とりあえず自分の今の頭で、その本に書いてあることを簡単に読み取る技術です。お勧めの用法としては、概略のレポート書かなければいけないときに、フォトリーディングで適当に文献をぶった切って、適当なレポートをでっち上げるときにとても良く効果を発揮します。または、明日、適当な内容で話をしなければいけないときに、文献を何冊か読んでもっともな話をしてみせるのにも役立ちます。
ポイントは、時間がない、です。時間があればじっくり読めばいいんです。しかし、現代はせわしない。だから、とりあえずわかったフリ、てのが必要だったりします。そこでフォトリーディングです。これを使えば、一夜漬けが出来ます。とりあえずその分野について分かったようなことが言えるようになります。評論家御用達ツールといっても過言ではない。
しかしね。難点があるのですよ。さっき「とりあえず自分の頭で」と書いたのだけども、これね。フォトリーディングでは、今の自分の頭の理解力や思考の深みを超えないんですよ。今の自分の理解力や思考の深みの水準で、とりあえず書いてあることを把握する技術なんです。だから、今まで大して勉強してこなかった人は、フォトリーディングしても本から大して読み取れないんです。また、思想の深みを深めてこなかった人は、本を表層的にしか読めないんです。そもそも読書ってのは著者と読者の対話ですから、思想的な深みのある本は、それ相応な読者でないと読み取れません。
だから、自分が時間をかけて勉強した分野の本は、フォトリーディングでぱーっと読んでも、自分がじっくり頭の中を築き上げた思想の体系があるので、内容を補完しつつ読めます。自分が今までろくに勉強していない分野の本は、きわめて表層的にしか読めません。これが内藤が理解しているフォトリーディング。間違ってたらごめんなさい。
ハウツー本を読むならフォトリーディングは結構おすすめ。どんな本もフォトリーディングで楽勝とか思ってたらダメです。どんな忙しいといっても、これは本格的に学んでおきたい、というものがあるものです。それは時間をかけてもじっくり脳みそから汗をかいて考えて考えて学ぶべきです。それは一生物の宝になります。そして、そうやって作った思考の深みは、他と差別化できるのです。なぜなら、他の人はそうやって、しっかり脳みそから汗をかいて考えてないから。
えー、と思うかもしれないですよね。でも、世界中でフォトリーディングとか騒いでいますか? いませんよね。これは速読法の一種で、出来る人は出来ています。フォトリーディングはちょっとした調べ物に便利な手法です。だから、それほど重要でないことを簡単に勉強したいときに使うものです。そういう意味ではやってる人は多いです。でも、その限界を知らないと、思考の深みの凄さを気がつかないで人生を過ごしてしまうことになると内藤は思うのです。
ちなみに、フォトリーディングではポイントがあります。まず、フォトリーディングする本の内容を一字一句マスターしようなんて思わないこと。基本は、捨て、です。この本はどんな本か、というのを簡単に説明することだけ考えてキーワードを拾うのです。そして、自分の無意識を信頼してやることです。ページをパッと見ても、単語が目に飛び込んできます。これは必ず無意識に捕捉されるので、必要なキーワードはかならず頭に残ります。見落としを心配する必要ないのです。というか、見落とす内容は今の自分には理解できない部分なので捨てざるを得ないのです。