ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 「俺が、つくる!」 岡野 雅行著 2003年 中経出版

俺が、つくる!

■[感想]

  久しぶりにビジネス本紹介書きまーす。というわけで、スタイル変えました。余談から入ろうかな、と。


  さて。商売ではプライシング(値段つけ)が、結構難しいポイントだと思う。いくらで売るか、いくらなら買ってもらえるか、というのを考えるのはなかなかに頭をひねることになる。難しくないと思ってるとしたら、価格付けの権限がないか、または、昔からの価格のままか、上位企業の価格に揃えてるだけとか、あまり考えなくてもいいようになっている場合。


  それで、内藤の勤務する会社には外部からスカウトした大上司がいるのだが、商社以外から引っ張ってきたこともあって、彼はいまだにプライシングが出来ない。とにかく、高いと買ってもらえない、と思い込んでいる。だから、お客さんに連絡するのに、○○円なんですけど、もう少し安く出来ると思います、とか言ってしまう。アホか…。それでは二重価格じゃないか。もともとの値段を言う意味がなくなってしまうし、それでいくと、いつも最初の価格はわざと高めの価格を言っているということになってしまう。しかも、価格を言うときは、自信がなさそうに言う。だから、なおさらである。


  価格に関しては、内藤は直属の上司を見ていて良く学んだ。直属の上司は業界のさまざまな品物の値段をとてもよく覚えていて、生き字引のような人なのである。そして、顧客にも必要のない値引きはしない。そのため、価格付けの勉強になると思って、内藤はこの3年くらい手当たり次第にモノの値段や相場を尋ねて、価格感覚を頭の中にコピーした。おかげで、モノを見ると大体の妥当な価格が分かる。つまり、価格付けには、相場の情報がとても重要なのである。当たり前だけども。そのことをずばりと教えてくれるのがこの本。


俺が、つくる!
[★★★] 「俺が、つくる!」 岡野 雅行著 2003年 中経出版









低い値段で見積もりを出してしまう人は、「これはただの石か、ダイヤモンドか」ということがわからないんだな。つまり、世間がどれだけその品物を欲しがっているか、どれだけ品物の価値があるか、その人はわからないんだよな。俺には情報があるからそのへんの価値がよくわかっている。


 ね。この本は、世界でここしか出来ないプレスをどんどん開発している岡野さんが仕事に関する哲学を語っているので、他にもいいことかいっぱい書いてある。読むとヒントになることがいっぱい書いてあるのでお勧め。


  さて。話は戻るけど。相場からして良い値段を出していると分かっていれば、堂々とお客さんに価格を伝えられる。その自信のある態度がお客さんを安心させる。価格は決して不安そうにして伝えてはいけないのだ。微塵も動揺してはいけない。


  例えば、ハイ、この装置は一式で450万円です、お安いものもありますよ、性能は落ちますけどもこちらは280万円です、と笑顔で言う。それが当たり前、という態度で言えば、お客さんも、そういうものか、と安心する。実際、そういう値段しかありえない。ぼったくりなわけじゃないのだから、値引きといっても1割引ければいいところ。450万円で1割引いても400万円はする。そのくらいになってくると大した違いじゃない。もちろんコストダウンに邁進するメーカーの購買担当者は目くじら立てるかもしれないけども、正直なところ、400万円用意できるお客さんは450万円も用意できる。そして、お客さんは本当に必要だと思えば、400万円だろうと、800万円だろうと用意してくるのである。お金なんてないわけではないのだ。ただ、それに見合う価値があると思って購入を決断するかどうかだけなのだ。そもそも、お金を用意するのは売り手の仕事じゃない。お客さんの仕事なのだ。売り手は良い商品を届けるのが仕事だから。まあ、ローンとか、リースを用意するのは別だけども。


  プライシングは相場を知らないと出来ない。自信を持って価格は伝える。はじめから値引きなんて馬鹿げた二重価格はナンセンス。売り手は良い品を届けるのが仕事。買い手はお金を用意するのが仕事。そういう意味では対等なんだな。売買は等価交換なんだから。もちろん、そこにおける価値には期待も含まれるので、期待の大小で価格は多少変化するけれども。




(作成2005.06.18)

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「俺が、つくる!」 岡野 雅行著 2003年 中経出版
■[ホシの数] ★★★ ええ(推薦読)
■[効能] 独自の仕事観から学べるヒントの詰まった一冊。
■[概要] 世界に誇る町工場、岡野工業の、超絶な金型を作り出す金型プレス職人の岡野さんが語る仕事哲学。
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[★★★] 「俺が、つくる!」 岡野 雅行著 2003年 中経出版



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