ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

2005-08-15 総選挙関連


  総選挙ですが、小泉さん有利に展開していますねー。小泉さんのやり方がうまい、というのもあるけど、小泉さんは実はみんなが望んでることをやってみせているだけかもしれない。ただ単に、他の議員の人は世の中の流れの変化に気づくのが遅いだけなのかも。


  さて。造反議員の皆さんですが、何だか言うことがほとんど愚痴や泣き言だったり。うーん。なんか聞いているとこの10年くらい聞かされた大企業からリストラされたサラリーマンが言うみたいな愚痴ですよね。あれでは、同情できないなあ。国民はこの10年間、経済の大変動で苦しんだんだから。ああやって嘆いても無駄、と学んだのがこの10年だと思います。世の中の流れにあわせて変化していかないとダメだと学んだと思う。その点で、たぶん、特に造反組と言われる国会議員の人はそれを実感してないんじゃないかな。


  それにしても「刺客」なんて古臭い言葉使うよね。誰が言い出したんだか。国会議員が言い出したとすればセンスが古いし、マスコミが言ったにしろ、センスが古い。なんか、アナクロ。こういうムードで国会周辺は動いているんだなあ、とかふと思った。


  それで、新潟に田中真紀子さんとかの対抗馬として出てきた「米山隆一」さん。テレビで見て、あー、この人、「東大理Ⅲの92人」(1986年 データハウス刊) に三番目に出てきた人だ、とか思った。本を読んだときは頭いい人だなー、とか思っていたのだけど、その人がテレビで見るとはねえ、と微妙な感慨があり。その本は、確かデータハウスが、そのあとシリーズ化した最初の本で、大学受験最難関とされる東大理科Ⅲ類合格者のほぼ全員にインタビューし、順序はほぼ成績順。つまり、三番目に掲載される米山さんはずば抜けて出来ていたというものなのである。今の経歴を見ると、司法試験にも合格しているらしいので、これまた凄い話である。内藤は試験苦手なので、こういう風に勉強できる人はただ尊敬してしまう。


東大理3の92人―天才たちのメッセージ

東大理3の92人―天才たちのメッセージ



  また、だらだらと話を進めるが、小選挙区というのは、当初は、政権交代に有利な方式で、二大政党が政策を競って交代するのに良いと言われた。ところが、実際にやり始めてみると、政策を競うといっても、現在の政治では、あまりに多くの論点があるため、二大政党同士であっても、どちらを支持と簡単に判断できない政策の塊となっていて、小選挙区が思ったほど、ダイナミックな政権交代に機能しない、という話があったわけなのだ。


  ところが、そこが小泉さん。この小選挙区制をダイナミックな政権交代に使える使い方を考えて、実行に移した辺りがすごいし偉い。論点を非常に単純な「郵政民営化の是非」にうまいこと絞り込んでしまった。こうなると、小選挙区はダイナミックに民意を反映させる仕掛けに変化する。つまり、郵政民営化に賛成だから小泉自民に賛成、反対だから反対を言う自民党造反議員か、どこかの野党にする、という具合である。これは気持ちいいくらいの割り切り方と、制度の利用の仕方ですよ。でもこれは制度の悪用ではないんだよね。


  そもそも、われわれは複雑な社会を生きるために、政策の寄せ集めを一体として判断なんて出来ないんだよね。一個一個を判断していくしかない。ところが、選挙ではそんな一個一個を投票なんて出来ないし、たくさんの論点それぞれに個々人が合理的な判断をしていくのも難しい。そこで、前は、議員や政党を信頼して投票する、ということでやってきたわけですよ。例えば、新進党は何かやってくれそう、とかいう訳の分からない党のあいまいなイメージで決めていたけど、そういう根拠のない曖昧なイメージで政党を決める馬鹿らしさに、この15年で気がついてきたというのが実際だと思う。民衆はどんどん学習しているんだ。


  そこで、今回みたいに、重要で、全体に対して象徴的な論点に絞って民意を問う、という方法があるんだなー、と。ただ、勝手に自民党が「郵政民営化の是非」なんて言い出してもダメだけど、今回はもともと公約だし、郵政民営化関連法案が今国会で成立しなければ解散すると予告があったし、ちょうど、今の巨大化しすぎた政府を小さくし、国の負債を減らし、永続できる国家を作るという流れにあった象徴的かつ重要な論点だったんだよね。非常にタイムリーかつ、うまいやりかただなあと思う。


  いや、そもそも、こういう流れをたどれば、昔、社会党が消費税反対で大勝したのも、結局のところ、単純で象徴的な論点に絞って、国民をそれに巻き込めたというのがあるんだよね。あのあと、社会党は、単に増税反対で山が動くと間違って学習してしまったようだった。違うんだよね。象徴的かつ重要な論点に絞って民意を問う流れを作るということが重要なんだ。それを小泉さんが仕掛けてここまで持ってきたというのはすごい面白いことだと思う。



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