ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

2005-08-27 「せどり」にみる裁定の力


  あー、さてコネタでも。


  人によっては見たことあると思うのですけど「せどり」という商売のやり方があります。あるところで安く売ってるの見つけて来て、別なところで高く売る、という。ちょっと正確な説明ではないけど。ネットでよく見るのは、ブックオフで安い本を見つけて来て、アマゾンのマーケットプレイスで出品して売るというもの。ヤフオクに売るとか、ヤフオクの中で転売するとかもあるかな。


  内藤は、この1年半くらいアマゾンで買うことが多いので、マーケットプレイスという個人が古本を出品しているものも結構買うわけです。この1年くらいで本は70万円くらい買っていて、これはこの数年の中でも多いのですけども、マーケットプレイスは多分10万円くらい買ったかな。


  それで、ブックオフで買ってきて、アマゾンに出品して売るというせどりについて、ネットでそれをやってる人の文章を読んだりして面白いなー、とか思ったりします。買い手から見ても面白いし、商売としてみても面白い。内藤の今の仕事は商社なので、ま、要は同じことですね。海外で安く買って国内で高く売る。つながってない両方の市場の間での裁定取引です。これによって、両者の市場がつながってきて、価格が近づいてきます。参入者がどんどん出てくれば。


  さて。まあ、何がいいたいかというと、この裁定取引なんですが、今はノウハウが流出しやすいし、取引が誰にでもオープンに開かれているので、参入やりやすいんですよね。だから、アマゾンのマーケットプレイスを見ていても、せどりに参入する人が凄く多い。買い手からすると嬉しい話なんですけど、これ、やる側からするとたまらんだろうな〜、というのが感想です。下のかたのWikiなんか凄く分かりやすく書いてあったりします。ブックオフ葛西駅前店とか門前仲町店とか行かれているようなのですれ違ってることもあるかもしれない。


http://wiki.livedoor.jp/hirusai8/d/



  それで、競争と言うのはどんどん進んでいくんですよね。この前、マーケットプレイスで10冊くらいまとめて注文したのですよ。全部違う出品者で。するとびっくり。注文後3日くらいで6割くらいは届くのです。いやー、もう注文受けるなり秒速で発送してますな。注文受ける→本を探し出す→拭く→梱包→宛名貼り→出荷→出荷連絡(任意) というのを即日やらないと絶対無理。まあ、これくらいのスピード感はいまどきの通販業者なら当たり前かもしれない。でも、これ、個人が副業でやってるんですよ。ありえない。本の注文なんていつ来るかもわからないのに。つまり、365日待ち受け体制でいる人たちがいっぱいいるってことです。凄い。だってね。1年前くらいだと、マーケットプレイスで買うと3日で来ると凄く早くて、普通は1週間くらいかかってましたよ。ところがいまや、5日で90%は届く。1週間かかった本が1冊あって、逆にすごいストレス感じてしまいました。届くのかなあ、って。恐ろしいもので、早いのに慣れると、今までの普通が遅く感じるんですね。不着を疑ったくらいですから。マーケットプレイスは不着の可能性もありますから。これも出品者側からすると重いリスクですね。また、梱包もどこも似たような感じになってきて、きれいです。


  というわけで、参入やりやすいというのは、すなわち、競合も入ってきやすいということで、大変な商売だなあと思うわけです。内藤は家に千冊くらいあるわけですけども、売らないです。というか売れない。折り目やらマーカー引きまくりなのでいらなくなっても売りようがない。しかたないのでいらない本は捨てます。本を捨てるのに抵抗ある人多いんですけど、自分の役に立ったら捨てていいんですよ。むしろ、本をあまり読まないでいらなくなって捨てる人こそ古本屋に売ってあげて欲しい。そこでもっと読み込んでくれる読者に本を出合わせてあげて欲しい。内藤はそう思います。余談ですが。


  ただ、これだけ毎月に本が大量に出版される時代なので、新刊書店→第一読者→ブックオフせどり屋さん→第二読者、という、こういう風な形で本が還流されるのは凄くいい仕掛けだと思います。だって新刊はあっという間になくなってしまうし、出版社も簡単に絶版にしてしまうわけですから。そういう点で、こういうせどりの方がたくさん全国にいる、というのは、全国に無数のSOHO型古書店が発生したようなものですから、良い形で本が社会に滞留できるようになったなあと思います。ブックオフは新古書だから、本をキープはしないんですよね。そういう点で、なにげに新しい形で本が有効活用される形態が自然発生しているのではないか、という気はします。なにしろ、全国の無数のせどり屋さんの自宅に本がきれいに整理されて保管されて、注文に応じて出庫されるわけですから、ある意味、古本の分散処理というか、とても理想的な形かもしれません。


  さて。それとは別に、このせどりを商売としてみると大変そうだなあ、という気はします。一人で本を買って出荷していくというとあまり数が捌けないので、利益率は70%くらいはないと難しいかなー、という気がします。300円で仕入れて1000円で売るというのはいい感じですが、これは他の人が気がつくと、簡単に真似されてしまいますよね。本は1品物ではなくて、量産品だから、世の中で探せば同じものが市場にいっぱいあるわけで、誰かが真似してブックオフで買ってきて、900円で出品すれば、あっという間に裁定が進んで、利益率がガンガン下がっていくでしょう。だから、最初は誰でも結構儲かったけど、今では、本の目利きを楽しみながら、時間がある人という条件がないと難しいかなあと印象です。個別に本を見ていけば、良い本で古本で出てない本とか結構あるんですよね。目利きという点でいけば、多少の参入障壁になるし、利益源になるかと思います。とはいえ、アバウトに行くなら、アマゾンで☆が多くついている奴を押さえれば多少のハズレはあっても、それほど目利きの技術はいらないかもしれない。というのも、内藤も、星が多ければとりあえず試しで買ってみたりするから。


  まあそんなことをとりとめもなく書いてみたり。ははん。

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