ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 舞台となる貿易商社は中国にTシャツやセーターなどを作らせて輸入している。最近ではユニクロが有名だが、これはユニクロが出てくる前の話。内容は、中国との貿易は大変だよ〜、に尽きる。


 要は、そもそも外国だし、文化も違うし、言葉も違う、さらに共産圏ということもあり、確かに物は安くできるが思ったような物はなかなか出来ないという貿易のトラブルを実感込めてリアルに描いている。


 内藤にとっては輸入の仕事で共通するため、とてもリアルな物語で楽しめた。内藤は中国貿易はあまりやらないが、たぶんこうだろーなー、と思う内容。ていうか、ここで書かれるようなトラブルは、アメリカに作らせようがドイツに作らせようがイギリスに作らせようが年中起きる。


 この作品の登場人物達のセリフは実感がある。教訓に満ちている。貿易てんやわんや物語としても楽しめるし、輸入関係者はトラブル対応のケーススタディとしても楽しめる。著者の上司である華僑の王課長のセリフは味わい深くて素敵だ。たとえばこんな…

「国が違うでしょ。文化も体制も言葉も違うから問題はつきものです。最初はみんな、日本国内のつもりで相手が察してくれると思っているから、よけいトラブルが起こりました。日本の人、はっきりもの、言わへんし。まあ、差があるから商社という商売が成り立つんです。あんたも今のうちによーく見といて。それでちゃんと自分の頭で、問題点を考える癖をつける」
「そうせんと、ただ中国に流されてね、トラブルに対して謝るだけの人になるよ」

「誰でも面子があります。僕は絶対にそれをつぶしません。」

「自分で仕事に優先順位つけなさい。後になったら誰もコントロールしてくれへんよ。仕事は自分で量も質も決めるもんです。」

「ときどきね、日本では、お金儲けに罪悪感持つ人がいるんですよ。お金儲けはいいことなのに。買うほうと売るほうが満足してれば、それはいい商売なんです。」

 というわけで、特に輸入関係者にすすめます。面白いです。