ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 この本も内藤には思い出深い本である。米長氏の「運を育てる」に感銘を受けてから読んだ。いままで繰り返し読んだ。


 前の説明と重複するが、われわれの生活というのは、棋士ほどではないが、何らかの勝負があったりして、それに対する心構えとしてとても役に立つ本だと思う。とくに努力している最中というのは、これでいいのか?、とふっと悩むことがあると思う。少なくとも内藤はときどき不安になる。そうした不安に効く一冊である。トップ棋士ですら自分と同じようなことで悩むのか、というわけだ。


 この本では、とても印象に残る勝負に対する考え方などが随所で語られている。内藤が感銘を受けた文章がいくつもあるのだが、そのうちのいくつかを引用してみる。

羽生は、将棋には完勝などないのだと信じている。きっとあらゆる勝負事に完璧な勝ち方などないのだ、とも。完勝に見えるような一局にも、必ず危機はある。そして完敗に思えるような一局にも必ず好機はある。将棋の強さとは、その一度はあるだろうピンチを逃げ切り、一度しかないかもしれないチャンスを逃さないことなのだ。

将棋、いや勝負事というのは勝つことは難しくても負けるのは実に簡単なことだ。だからこそ簡単に負けるのはいけないことなのである。

「二十年以上碁を打ってきて、こんなことに気が付かないなんてどうかしていた。勝つためには自分の打った手を信じ切る、ひたすら信じ切るしかないんじゃないかと思う。当たり前のことなんだけど、これが意外とできないといつも感じるんです。それもトップの人たちとやるときには特に。打った手が信じられなくなると、相手の手を信用するようになってきてしまう。相手によって打たれた手の価値が変わって見えるのは、人間だからあることかもしれないけれど、プロとしてはそういう姿勢ではいけないと思う。」

結局、“後ろめたいことがない”点が大事なのではないか、と森下は思う。

「でも以前は自分がわからず、相手だけ碁がわかっていると思って打っていました。だからどこかで不安な面があったと思う。でも最近、感じるんです。どうも相手も自分以上にわかってないらしい、誰もわかっているわけではないんじゃないかと。そう信じるようになってからずいぶんと楽に碁を打てるようになったんです。」


 というわけで、人生の勝負に迷ったら読むと自分だけが悩んでいるのではないんだと勇気付けられる本なのでかなりおすすめです。