ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 ソニーについての本を紹介したので、こちらも紹介。今となっては大企業となったソニーバラックから始まり、アメリカに進出し直販をはじめ、世界的な大企業にまで成長する歴史が学べる読後感さわやかな一冊。
 もうすでに内藤からすると、内藤の子供のころからソニーは大企業であり、戦後の復興を知らないので、「ああ、こうやって日本は復興したんだ」とも学べる一冊だった。
 内藤としては、仕事に役立つ考え方などは随所に散りばめられている。即、役立つというわけでもないが読んでいて損はない一冊だと思う。
 内藤個人として興味深かったのは、ソニーアメリカ設立の経緯だ。まず最初はアメリカのディーラーと総代理店契約をし、最終的には、アメリカのディーラーと販売方針が対立し、ソニーアメリカを設立し直販に乗り出すことになる。内藤は、ここでいうアメリカのディーラーのような仕事を日本でしているので興味深かった。


 海外進出というのはこんな感じで進化する。まずは海外の現地市場で力がないこともあり現地の販売店と販売契約を結び売り始める。次に、その現地での売り上げが伸びてくると、現地の販売店との販売契約を打ち切り、現地に販売会社を設立する。販社は契約のあった販売店と合弁であることもある。合弁だと現地資本が販社の経営方針を左右してくることもあり必ずしも思い通りにならないこともあるが、他方、現地の事情を知り尽くした有能な商人であれば逆によいコラボレーションになる。この展開の仕方は、日本企業だろうと、アメリカ企業だろうと、ヨーロッパ企業であろうとまったく同じだ。どうして現地と販売契約した販売店と契約解消になるかであるが、その理由は、現地の現地資本販売店というのは、ほかの商品も扱っていることもあり、自社の商品だけに力を込めてくれないからなのである。特に独創的な商品を作った場合、現地販売店が理解できずに力を込めない(すなわち売れない)ということが非常に良く起こる。
 そんなわけで、内藤としては、直販をやりたくなる企業に対してどうしたらよいのかなー、と参考になったのであった。内藤としてのとりあえずの解答としては、信念を持ったメーカーは愛情を込めて製品を作り出すのだから、販売店である売り手もその愛情を感じ取り、信念に共感して、マーケティングをやりセールス活動を繰り広げないと駄目だ、というところである。要は、製品にこめられた愛をほかほかのまま日本の客先に届けてやればよいのだ。内藤はこれを「愛情ほかほかデリバリー」と名づけている。


 というわけで、この本は有名なこともあり、読んで損のない一冊なのでおすすめです。日本はこうやって復興してきたんだ、とか、バラック工場からこうやって世界企業になっていったんだとか、われわれが既に忘れ始めているいろいろなことが内藤には新鮮で勉強になった本です。おすすめです。

 写真は手持ちの初版のもの。