ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 内藤が感心したのは、中村うさぎ氏の質問が的確な点。やはり実地で消費しまくっているだけあって、消費者の実感がわかって尋ねているので質問が的確で、キモの部分にすぐたどり着くので読んでいて気持ちがいい。ただ、著者の中村氏があまり実感のないところは普通の質問になってしまっている面もある。


 


 例えば、内藤が読んですっきりした点などはこんなところだ。

 新宿にあるパークハイアットホテルの総支配人のトンプソン氏との対談のところだが、内藤は仕事で海外からの来客があったりして、同ホテルに何回か行ったことがある。その内装、雰囲気は素晴らしく、感動した。ニューヨークグリルやニューヨークバーからの眺めも幻想的だった。内藤は、とにかく、ただ凄いとしか表現できなかったが、それを総支配人のトンプソン氏は、『神聖な雰囲気』と誠に見事にまとめていて、しかもそれを提供していると述べているのである。ああ、なるほど、と。確かにあれは、『神聖』だし、しかも、それは『提供されている』んだ、と。内藤の中にあったもやもやが晴れる気持ちがしたのである。


 他方、中村氏があまり実感ないサービスについては、結構さらっと通り一遍で過ぎている部分があるので、まあそれはご愛嬌。しかし「優秀な消費者」を自称するだけあり、おおむねポイントを押さえていて気持ちよい。


 ただ、あとがきにあるのだが、

我々が餓鬼のように「欲しい欲しい」とのたうちまわって探しているものの正体は、じつに「我々自身」なのである。


と、中村氏の結論があるのだが、まあそういう面もあるだろうし必ずしも間違ってないとは思うけど、でもそういうまとめかたは使い古されていてちょっとつまらないなあと思ったりした。


 とはいえ、消費者向けの商売について、エモーショナルなアプローチが必要というお話を、実例から、優れた消費者の実感のこもった視点で学べる良い一冊です。厚さのわりに気軽に読めるのもマル。