ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 この本は「2001年ブランドの明日が見える」という題で出されたものを改訂したもので、この本のターゲットは、大手企業のブランドがある商品のマーケティング担当者向けかと思います。


 ブランドについては、売れたブランドを利用しすぎてあれこれ全部売れたブランド名をつけるとブランドイメージがぶれるとか、役立つお話をコンパクトにまとめていて、出来の良いマーケティングの授業を受けているような感じです。デザイナーに依頼するための心得みたいなものも巻末にあります。


 内藤に役立ったのはプロダクトコーン理論。これは既に知られている話なのかもしれないですが、内藤はこの本で知りました。ある商品について、[規格]、[ベネフィット]、[イメージ]というふうにそのアピールするところを分けます。例えばあるクルマなら、2000cc DOHCエンジン搭載、ラグジュアリシート、…みたいなのは[規格]とするわけです。そして、上質な乗り物とか、コンフォートセダンというコンセプト部分を[イメージ]とします。[ベネフィット]は、パワフルなエンジンでスムーズな加速と静かさで高速走行も快適とか、上質な内装はデートで役立つとか、そういう[規格]を基にして実際に何が便益で得られるか、ということを指します。


 そんな感じで、ある商品をアピールしていくのに、[規格]をアピールするのか、[ベネフィット]をアピールするのか、[イメージ]をアピールするのか、意識しましょうとしているわけです。そして、プロダクトライフサイクルで言うと、イノベーターには[規格]を訴求すべきであり、アーリーアダプターには[ベネフィット]、マジョリティには[イメージ]というふうに、それぞれアピールすべきところが決まっているとされています。だから、かなり普及したものは広告はイメージ合戦になり、ときどき、[ベネフィット]にターゲットを絞ってみたりしているというわけです。さらにこれにDCCMという分類を加えて分析していくわけですが、それ以降は本書を読んでください。


 というわけで、差別化のためにある商品のどこをアピールしていこうか、と考えるのに分かりやすくパワフルなツールを提供してくれているのが本書です。基本的には大企業のブランドマーケティング担当者向きですが、商品のどこをアピールするかについて言えば、中小企業においても同じですので、とても有効です。むしろ、中小企業のマーケティングでは、特にダメな企業は、[ベネフィット]を訴求すべきところを[規格]をアピールしたり、[イメージ]に走ってしまったり、というちぐはぐな例がありますので、かなり有効かと思います。


 ある商品をどのように訴求していくかを考えるのにとてもお薦めの一冊です。