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心理学の成果を利用してコミュニケーションを改善する本といえる。表題は相手を心理学で相手をコントロールするようなノリだが、この本はまじめに人間の特性について述べ、それぞれの状況における対処法を絵つきで分かりやすく網羅的にコンパクトに解説している。この手の類書に中ではコンパクトでありながら分かりやすいので内藤としてはおすすめ。
営業パーソンなら読めば、自分がやっているテクニックが載っていることに気がつくはずだ。そうすると自分が使っていないものの、使えそうなテクニックが周辺にあることに気がつく。そういった形で自分のテクニックを補充するのに内藤は役立った。
とはいえ、これを鵜呑みにしてマニュアル的にやろうとするひとはあまりいないと思うが、念のため。そういう使い方は不自然なので役に立たない。あくまでスムーズにコミュニケーションを進ませるツールだ。本来ならすでに自然に学んでいるのがベストなのだが、実際にはそうではない。誰もがコミュニケーションの達人でない。ゆえに、こうしたコミュニケーションの達人からエッセンスだけを学んで自分に取り込んでいくということになる。
また、この手の類書で強引な本もある。人間心理を応用してある特定の型にはめてイエスと言わせる手法というのは確かにある。ただそれは万能ではない。というか、実はあれは特定の人にしか効かない。だからその手の催眠商法的なものに引っかかる人は何度も引っかかる。そういう悪徳ビジネスの運営者は、多くの人に網をかけて確率的に1%程度存在するそういう型にはまりやすい人を探しているのだ。ところが通常のビジネスでは、交渉相手がそういう型にはまりやすい人である可能性はほぼゼロに近い。だからあまり役に立たないのである。
というわけで、コミュニケーション強化ツールとしては、分かりやすく網羅性も高いので能力補強に役立つ簡便な一冊としておすすめします。