ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 この本は内藤には思い出深い本である。1993年にクレスト社から出版されたものを読んだ。いままで繰り返し読んだ。それから将棋の棋士の本を読むきっかけになった本でもある。


 われわれの生活というのは、棋士ほどではないが、何らかの勝負があったりして、それに対する心構えとしてとても役に立つ本だと思う。というのも、教科書的な世界とは違って、実社会での勝負というのには答えがない。とくに努力している最中というのは、これでいいのか?、とふっと悩むことがあると思う。少なくとも内藤はときどき不安になる。そうした不安に効く一冊である。


 この本では、どのように勝負に臨んだらいいのか、また人生の心構えなどについて、米長氏が率直に語っている。執筆当時は、まだ米長氏も現役であり、意気込みや考えなどもなかなか生々しい。野心があふれている。それも合わせて魅力的な本だ。何も客観的になるのがいいわけでもあるまい。特に人生には主観しかない。そうした中で内藤に人生について教えてくれた本である。内藤が感銘を受けた文章がいくつもあるのだが、そのうちのいくつかを引用してみる。

 勝利の女神に愛される条件として、

ひとつにはいかなる局面においても「自分が絶対に正しい」と思ってはならないということだ。謙虚でなければならない。どんなに自信があっても、それを絶対と思い込んで発言してはならない。

もう一つは、笑いがなければならない、ということだ。どんなにきちんと正しく身を処していても、その過程でまったく笑いがない場合には、どこかで破綻が生じる。

また、素直でない後輩に対して、

とにかく、こう言えばああ言う、ああ言えばこう言うである。すべての出来事は自分の頭で判断でき、それが必ず正しいと思い込んでいる。
自分の頭では判断不能なことがあり、判断できたことでも誤っている場合があるということは、プロとして将棋を指していれば、すぐにわかるはずだ。自分の頭が神さまのごとく万能で常に正しいのなら、百戦百勝するわけで、戦う必要はない。

 というわけで、人生の勝負に迷ったら読むと元気が出る本なのでおすすめです。米長氏の本の中ではこれが内藤として一番おすすめ。