ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 歴史的建築が残っている風景 (2004年3月20日)

bizmania2004-03-20



昨日、初めてのイギリス出張から戻ってきたことを書いた。でもって、バーミンガムが観光では有名ではないようだが、市中心部はなかなか美しい歴史的建築が多く、街並みは見ていて楽しいと書いた。


それでちょっと思ったことがある。もちろんたったの一回、イギリスのごく一部を見ただけで一般論を言うのは危険ではあるのだが、まあお遊びだ。


歴史的な建造物がきちんと残って、整備され、新しい建築もそれに調和するようにデザインされているというのは、美的にはとても素晴らしい。だが、まあそのかわり、都市のダイナミズムは失われているんだろーなー、と思った。


というのも、しばしば、ヨーロッパの都市が住民や街ぐるみで景観維持を財産として守って維持していることを褒め称えて、振り返ってわが国はよろしくないという批判記事を内藤はよく読んだものであるが、まあ確かにこうやって内藤の数少ない経験(あとはミュンヘンに行っただけだ)からしても、景観維持による景観のよさというものは素晴らしい財産ではあると思う。


ただ、それではどんどん変わり行く、経済の要望には合わないだろう。むしろ、経済を街の財産に合わせる仕組みになっているわけだな。それだけ、さまざまな利権だの、しがらみだの、由来だの、歴史だのに縛られてしまうということでもあると思う。


しかし、経済発展は、持続的な変化ではなく、しばしばジャンプしたり加速したりと、前の仕組みを壊して進んでいく面がある。だから、前からの継続性を重視していくと、発展がスムースに進まなくなる面があると思う。


というわけで、日本は景観を無視する代わり、急速な経済発展で必要とされた街の構成のダイナミックな組み換えが出来ていたわけだなあ、と日本の景観を壊した面のよさに気がついた。


バブル時代に、建てたばかりのビルを壊す、という事例があったようで、バブルの「異常さ」かもしれないが、ある意味、それで採算が合えば、経済的には新しい必要にあわせたわけで、極端な例ではあるがそれも正解なんだなあと思ったのだ。


時代とともにどんどん必要とされる箱は変わってくる。それに対して追いかけていくならば、どんどん古い建物を壊して新しくしていくのも正しいことなんだなあと思った。


というのも、最近はやたらエコロジーとか環境共生とか強調されるわけだけども、かといって、環境に優しくしたおかけで、資源配置の最適化がダイナミックに進まないと、機会のロスが生まれるわけで、どちらが人類にとってのマイナスがはなんともいえないなと思う。特に内藤は環境原理主義が好きでないためにそう思う。なんだかんた言っても、今の経済によって人々は潤されているわけだし。


もちろん、京都のような都市は、古い建物を壊して新しい時代に適応していくよりも、昔の財産が多くあるし、しがらみもびっちりあるから、むしろ逆にそれを生かして観光を経済の主体にしたほうがいいだろう。そうした点から、京都の寺社仏閣が景観保持を強く求め、行政のやろうとするプチ東京化に反対するのは理がある。


まあそんなわけで、内藤は歴史的な建物が並ぶエレガントで美しい街並みを歩きながら、こうした建物は美しいし、この街の歴史の長さをよく表している貴重な財産であるが、他方、利権やしがらみを表すものでもあるのだろうなと思ったのだった。