ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 最近、リクルート社に関係する本が人気である。近年、リクルートから多くの人材が輩出され、その秘密はどこに?、という点で注目を集めている。「iモード事件」の松永氏もリクルート出身者だ。
 そこでリクルートに注目するなら、リクルート出身者による本はいろいろ出ている中では、内藤はまずおすすめなのがこの本である。
 著者の藤原氏は新卒でリクルート社に入社し、リクルートの成長とともにリクルート内を歩んだ、まさにリクルート生え抜き社員である。そのため、リクルートの成長を社員という視点からよく観察しており、生き生きとした描写がぐいぐいと読ませる。このあとに紹介する創業者の江副氏の「かもめが翔んだ日」と見事に表裏をなす構成になっている。一方は従業員の側から見たリクルート、もう一方は創業者であり経営者としてのリクルートだ。そういった点でもこの本は必読であると内藤は思うし、まず最初に読んでおいてほしいと思うのだ。
 さらに、藤原氏による鋭くポイントを押さえた解説で、リクルートの仕組みをガンガン読者に教えてくれる。どれだけ採用に力を込めたか、どんな採用テクニックを使ったか、どういう選考方法をしたか、営業活動はどのようなやったか、情報誌ビジネスのコンセプトなどなど、リクルートのエッセンスが詰め込まれている。内藤は読んでとてもためになった。
 この本の後半は、失敗に終わったINS事業、リクルートスキャンダル、ダイエーによる買収劇などについて批判的なコメントが続く。こちらは江副氏の本と比較して読むと極めて面白い。双方で事件に対する見方が異なるが、それは双方の立場の違いによるものであり、どちらが間違っているというものでもない。ちなみにINS事業の件では、このさらに後に紹介する予定の、リクルートのINS事業で鍛えられた営業マンであった大塚氏による「リクルート流」と関連するので、比べながら読むとこちらも面白い。
 というわけで、リクルートについて知りたければ、まず手に取るべき内容の濃い一冊。リクルート社の少年時代から青春時代へ、そして壮年期へと移り変わっていく時代の流れも味わえる爽快な読後感がある。ぜひおすすめ。