日本にとって戦前と戦後は断絶があるが、中韓にとっては歴史は続いている(2004-08-09)
サッカーはとうとう中国に日本が勝ったねぇ。とりあえずめでたい。中国の反日運動と、ブーイングのひどさが話題になったが、だからといって北京でやるオリンピックに不参加、というのも大人げない。わざわざ政治問題化する必要もあるまい。まあ中国の人民のほうが大人げないわけだが、それについては後述する。
サッカーではイギリス人とかのフーリガンが怖いとかいって対策が必要なんだが、今回は中国にもフーリガンがいることが分かったのである。実はそれだけのことなのである。マナーが悪いのもフーリガンだから。また、マナーが特に悪いのも、まだ慣れていないから。サッカーの試合を観戦するのに慣れていない中国人なんだから仕方ない。だんだん学んでくるだろうし。
そこで、こういう反日運動についてなんだが。多くの日本人にとって、戦前の日本と戦後の日本はまったく別物のように教わっているし、そのように感じている(実態はまったく別物というわけではないが)。少なくとも、教科書的な歴史認識では、アメリカに降伏したところでいったんリセットしているのが、僕らの歴史なのである。そうだよね? 昨日までのことは水に流して、新しい未来が始まったのが僕らにとっての戦後60年間なのだ。
でも、今回のサッカーの試合でブーイングしまくっている中国の若者や、前のワールドカップで反日で沸き立つ韓国の若者を見ていて思ったのだが、どちらもものすごく日本に対して敵意がある。いや、敵意というか、敵愾心がある。日本はライバルなのである。打倒日本で猛烈に燃えているのである。
そういう感覚は、僕らのような戦後の歴史教育を受けた人間から見ると違和感がある。僕らにとっては戦前と戦後で切り離されているから。僕らからするとああいう反日運動の対象は、戦前の日本に対してすべきであって、どうして今の僕らに敵意を燃やすの?と思えてしまう。生まれ変わったのに、どうして水に流してくれないの?と。だから韓国人や中国人は恨みを100年先まで覚えている民族でしつこい、という説明を聞くと、なるほどと思えてしまう。
でも、違うんじゃないか、とテレビを見ていて思った。中国や韓国の若者にとって、日本は先行しているライバルなのだな。もちろん、中国や韓国はすぐに過去の日本の振る舞いを非難する。戦争のときの話を持ち出す。でもそれは、日本に対して何か非難しようとすれば、日本の失点である、過去の振る舞いを言うだけなのである。つまりそれは交渉カードに過ぎないのであって、まずあるのは、日本を非難したいという気持ちなんだろうなあと思うのである。日本は彼らの先行しているライバルであり、何とかして追いつき追い越したい相手なんだろうなあ、と思ったのである。サッカーの試合ですら、勝ちたいのだ。その証拠に、日本がサッカーが弱い頃はこんな話にはならなかった。
今の日本では「大東亜共栄圏」的考え方は否定されてしまうが、実のところ、中国にしろ、韓国にしろ、大東亜共栄圏的発想に戦後もずっと囚われてきたのではないかと思った。日本を兄とし、韓国中国は弟というアジア新序列に、逆に彼ら自身がずっと囚われてきたんじゃないかと思うのである。実態としても、戦前も彼らを上回る発展をして、攻め込んだし、戦後も、いち早く復興し、またアジアナンバーワンの経済大国に上り詰めた。日本は彼らにとっていつも先を行くライバルなのだ。
そういう彼らに対して、僕らはあまりにナイーヴすぎるような気がする。対中国や対韓国の話になると、「僕らは同じアジア人で仲間じゃないか!!」みたいな牧歌的な平和主義を言ってしまう。でもそれは、お金持ちのボンボンがのんきに理想主義的なことを言っているのと変わらないように、中国や韓国からすると見えるんじゃないのか、と思った。
日本では戦後はとりあえずなんでも平等主義的に扱えば正しいことになってる。それがフェアみたいな。そういう建前が出来ているが、そんな建前は日本国内でしか通用しない。彼らにとって日本は100年近くに渡ってアジアで先行する経済大国なのだ。彼らにとっては日本は先行するライバルなのである。中華思想とか言っているが、結局のところ、実力が伴わなければ空想でしかない。現状のアジア秩序は日本が彼らの上にいるのである。だからこそ、仲間じゃないか、なんて言っても彼らのライバル心は収まらないのである。これは文化の民度の問題じゃない。フーリガン的な部分は民度の問題だが、彼らの日本に対する敵愾心は、日本がこの100年ほど彼らを上回っているところに起因する。ゆえに、過去の戦争行為を謝るだけでは解決しないのである。なぜなら、「今」、僕らは彼らよりも先行しているのだから。だから、彼らが粘着質だからしつこく日本の過去の非難を行うのではなくて、今も昔も彼らよりも上の立場のいるので、非難し、日本に勝つために敵意を燃やし続けているのである。
つまり、中国や韓国の日本に対する敵愾心は、彼らの国の反日教育も原因の一つだと思うが、それすらもすべてアジアの覇権を巡る競争の一環に過ぎない。中国や韓国にとって日本はこの100年ほどのアジア地域でのトップランナーであり、なんとしても追いつき追い越したい相手なのである。だからこそ、彼らは日本に追いつき追い越すために、国民教育でライバル日本を追い越すように国民に敵愾心を植えつけるのである。多くの日本人にとっては、戦前と戦後ではまったく別であり、敗戦でいったんリセットした断絶した歴史を持つが、韓国や中国にとっては歴史はずっと続いているのであり、その歴史は常に日本に侵略されたり、常に二番手以下にされた歴史なのである。そして、どちらもまだまだ日本を追い越そうと頑張っているので、日本に対する敵愾心はやむことがないのである。
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